空の道、ドローンハイウェイとは?「楽天ドローン」が目指す空の革命

楽天は、ドローンを活用した配送サービス「楽天ドローン」を2016年に始動して以来、空から注文した品物が届けられるという世界を早期実現するため、全国各地で実証実験や試験的なサービス運用を行っています。

 

近い将来、あなたも空から荷物を受け取れる!?

2019年1月25日、自然豊かな埼玉県秩父市で、楽天と株式会社ゼンリン、東京電力ベンチャーズ株式会社は、送電設備上空を空の道として利用した「ドローンハイウェイ」を活用し、操縦者が機体を視認できない範囲で運行する「目視外補助者無し飛行」によるドローン配送実験を行いました。今回の実験は、国土交通省と環境省の連携事業「平成30年度CO2排出量削減に資する過疎地域等における無人航空機を使用した配送実用化推進調査」として、全国5箇所で行われる検証実験の一つとして実施したものです。

実験では、秩父市の浦山ダムから約3km離れた場所にあるネイチャーランド浦山のバーベキュー場利用者が、持参し忘れた品物を注文するというストーリーをもとに、ドローンによる配送を行いました。

 

飛行中の様子(画像:ゼンリン提供)

「目視外補助者無し飛行」は、民間企業としては国内で初めて実施したもので、政府の「空の産業革命に向けたロードマップ」に定められた飛行レベル3(注)にあたります。操縦者が機体を視認できない範囲は、ドローンの自律飛行に任せる必要があるため、高い技術力やリスク管理が求められます。

その配送を実現したのは、ゼンリンと東京電力ベンチャーズが推進する「ドローンハイウェイ」と「楽天ドローン」の配送ソリューションです。

「ドローンハイウェイ」とは、東京電力グループが保有する「送電鉄塔、送電線、変電所、電柱など」のインフラと、ゼンリンが開発を進める「空の三次元地図」を組み合わせ、送電設備上空を空の道として利用するドローン専用の飛行空域・空路です。実験では、送電鉄塔に取り付けられた機器から、風速などの気象データが「空の三次元地図」上に表示されることで、機体が見えない場所でも、空の状況を確認することができ、安全にドローンを飛行させることができました。

(注) 飛行レベルとは「空の産業革命に向けたロードマップ」により定められたもので、以下の4段階があります。
レベル1: 目視内飛行での操縦飛行
レベル2: 目視内での自動・自律飛行
レベル3: 無人地帯※での目視外飛行(補助者の配置なし)
※ 第三者が立ち入る可能性の低い場所(山、海水域、河川・湖沼、森林等)
レベル4: 有人地帯(第三者上空)での目視外飛行(補助者の配置なし)

 

ボタンひとつで自動飛行?

続いて、今回の配送で使用した楽天ドローンの専用機体「天空」をご紹介します。

「天空」は、国産ドローンメーカーの株式会社自律制御システム研究所と楽天が共同開発した機体で、最大約2.0kgの荷物を積載することができ、最長約10kmの距離を完全自律で飛行することができます。

(左)「天空」(右)楽天ドローンの「ドローンダッシュボード」画面

「完全自律飛行」では、飛行中のコントローラーによる操作は不要で、「離陸ボタン」を押せば、離陸してから目的地で荷物を下ろし、帰還するまで、すべて自動で完結することができます。着陸時には、GPSによる位置情報と、独自に開発した画像認識技術を組み合わせることで、着陸地点に引かれたシートの上に正確に着陸することができます。

 

地上を走るロボット?

楽天は、ドローン配送のリーディングカンパニーとして、山間部での実験に限らず、都市部配送についても検証を進めています。昨年10月には、千葉県千葉市で、ドローンと「地上配送ロボット(UGV: Unmanned Ground Vehicle)」を組み合わせた都市部での配送を想定した実験を実施しました。この実験は、人口密集地であり、高層ビルをはじめとした建造物の多い都市部におけるエリアで、ドローンがアクセスし得る着陸ポイントから注文者の玄関口までの配送手段を構築することを目的としています。実験当日は、ドローンがマンションのモデルルーム前まで配送した荷物を、注文者が待つモデルルームの部屋までUGVが自動で走行して、お届けできたことで、その実現性を確認することができました。

政府は、「空の産業革命に向けたロードマップ」で、2020年代前半にドローンを使った荷物配送サービスを実現するという目標を定めています。楽天は、秩父市においては、ゼンリンと東京電力ベンチャーズとともに、早期の過疎地域における一般利用者向けの試験的なサービス提供の実現を目指しています。あなたの荷物が空から届く日も、すぐにやってくるかもしれません!

 

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