「“超”挑戦」への覚悟

今年も、全国約6,000名の「楽天市場」出店店舗が集い、店舗運営、ひいては「楽天市場」店舗全体の成長を加速させる場となるイベント「楽天新春カンファレンス2018」が国内の6都市で開催されました。 

昨年は一つの節目となる楽天創業20周年を迎え、今年はまた新たなステージへ入ります。世界では、インターネットをプラットフォームにした流通革命にとどまらず、社会革命とも呼べるような大きな地殻変動が起ころうとしています。楽天社長三木谷は新しい時代の潮流に対し、「楽天市場」店舗をはじめとする様々な方と共に挑戦し、成長しつづけるという覚悟を「“超”挑戦」という言葉で表しました。カンファレンスの基調講演で三木谷が店舗さんに向けて語ったメッセージを紹介します。


One Rakuten: 楽天エコシステムの超拡大

昨年は、世界最高峰のサッカークラブである「FCバルセロナ」や米プロバスケットボールリーグNBAの世界的人気チーム「ゴールデンステート・ウォリアーズ」とのパートナーシップが開始となるとともに、ウォルマート社との戦略的提携が発表されました。楽天グループの世界的な展開が広がりを見せる中、今後のグローバル展開について三木谷は、「今、楽天がやろうとしているのは、グローバルに“One Rakuten”になることです」と語りました。

インターネットには国境がありません。国境を越えて世界に商品を積極的に販売している「楽天市場」の店舗も多く存在します。このような状況下で勝ち残っていくには、グローバル企業として成長することが求められています。そんな中、楽天は昨年、世界中で展開している楽天グループのサービスロゴ・名称を、ひとつのブランドとして身近に感じられるにように、「Rakuten」ブランドを核にして共通性を高めました。“One Rakuten”というメッセージには、国内外の事業をより一体的に展開し、グループ一丸となって競争の激しい新時代を切り拓いていこうという想いが込められていました。

様々なサービスをつなぐカギとして三木谷は、「これらのIDを統合し、『楽天スーパーポイント』のような形で世界に流通させることで、世界中のユーザーがますます「楽天市場」の店舗さんで買い物をすることが可能になっていく」と、国内外における「楽天エコシステム」の拡大が店舗さんにとって意味するところを話しました。

Eコマースの拡張・再定義へ

「楽天エコシステム」拡大の軸となっている「楽天スーパーポイント」は、国内利用対応店舗が約70万店となり、これまでに累計1兆ポイント以上が発行されています。最近では、MVNOサービスの「楽天モバイル」での利用料金の支払いや楽天証券の投資信託の買い付けまでポイントで行えるようになりました。楽天会員IDの価値をさらに高めていくために、決済サービスでは「楽天ペイ」として、オフラインの取引もできる実店舗決済や他社サイトでの取引を可能にするオンライン決済、そして携帯に表示させたQRコードでの支払いができるアプリ決済も強化しています。ウォルマート社との提携では、同社が国内で運営する西友と共同でネットスーパーを展開する予定です。

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三木谷は、「“インターネット通販”という言葉は古くなり、それよりも、あらゆるものをインターネットで買うことができ、ひとつのIDを使って、支払いができるという意味では、“インターネット生活”という言葉が適しているかもしれません」と、Eコマースの拡張・再定義が起こりつつあると話しました。また、「オンラインで買おうが実店舗で買おうが、オンラインで買って実店舗でピックアップしようが、あらゆるシーンで楽天会員IDが使えるようにすることで『楽天エコシステム』を拡大し、ひいては『楽天市場』の店舗さんで買ってもらえるように『楽天市場』への還流を目指す」とし、楽天グループのすべての力を結集して、「楽天市場」拡大にもつなげていくと語りました。

大きな構想を打ち出しながらも、「インターネット・ショッピングは自動販売機ではない」「エンターテインメントである」という「楽天市場」の原点となるモットーについても三木谷は強調しました。「楽天市場」は、プラットフォームを通じて、出店している店舗とエンドユーザーをより有機的につなぐということが他社との大きな違いです。その違いを説明するにあたり三木谷は、「ショッピングという経験をツールではなく、あくまでユーザーと店舗さんがコミュニケーションをしながら楽しんでもらう。そこには哲学的な違いがあります。楽天はこの道を追求し、店舗の皆さまと一体となって、『楽天市場』をさらに盛り上げていきたい」と語りました。

ワン・ペイ: 決済手段の統一

「楽天市場」の長所を伸ばしていく一方で、短所の改善策として、決済手段の統一化についても語りました。「これまで『楽天市場』での決済方法は、この店舗さんでは代引きができてもこの店舗さんではできない、この店舗さんでは銀行振込ができるがこの店舗さんはできないというように、店舗さんによってバラバラでした。また、3店舗で買い物をしたら、別々に決済をしないといけませんでした。これを一つにするのが”ワン・ペイ”というコンセプトで、今年実現させます。ユーザーにとっての利便性追求の第一歩となります」と話しました。

店舗・ユーザー間チャット機能の拡大:AI機能の導入も

「楽天市場」の長所をさらに伸ばす機能として、三木谷はチャット機能を次のように紹介しました。「『楽天市場』は店舗さんがベースです。つまり、店舗さんの特徴をいかにアピールしていくかが極めて重要と考えています。そこで、昨年から新しくトライアル導入を始めているのが、店舗さんのスタッフとユーザーがチャットできる機能です。動画や商品ページの説明文ではわかりにくい場合に、店舗さんがチャットで相談にのってくれるというものです」。現在、AIによるチャットボット機能も、「楽天市場」の一部店舗でトライアル導入されています。簡単な質問などはAIが答え、難しい質問には人間が答えるというように、人間らしい良さとテクノロジーによる効率性を実現することに楽天は挑戦しています。

ワン・デリバリー: ラストワンマイルへの挑戦

「楽天市場」らしい長所を伸ばすためにAIを活用していく中で、店舗さんの商品をいかに効率的に様々なユーザーのライフスタイルに合わせて届けていくかも重要になってきています。「楽天市場」の商品は、コンビニや商品受取ロッカーである「Rakuten Box」など全国約3,700カ所、郵便局では約2万カ所で受け取ることができます。

しかし現在、「楽天市場」の店舗が利用している配送業者は複数あり、それらのシステムは統合されていません。三木谷は、「楽天市場」における配送を包括的に契約と管理を統合し、さらに効率化された楽天独自の配送ネットワークを構築する「ワン・デリバリー」構想を掲げ、「すでに店舗が契約している配送は使えるようにしますが、注文した時からユーザーに届くまでのすべてを楽天のデータ上に乗せていきます。そして、楽天独自の配送ネットワークを将来的に構築する予定です」と話しました。楽天は、AIやデータ、ドローン、シェアリングエコノミーなどのテクノロジーを活用し、先進的な倉庫マネージメントや新しい配送ネットワークの構築を通じて、「ラストワンマイル」に挑戦していこうとしているのです。

最後に三木谷は、「楽天の哲学は、自分たちだけが成功すればいいというのではなく、“エンパワーメント”です。インターネットを使って、ユーザーだけではなく、商売をする店舗さんたちがどうビジネスを拡張していけるかを考えていくことを大切にしています」と語りました。また、社会では大きな変革が起こっているとして、「2018年は2017年以上に、様々な大きなチャレンジをしていく年です。店舗の皆さんと一緒に、世界に類を見ない共存共栄のできるプラットフォームをつくっていきたいと考えています。一緒にがんばっていきましょう」と今年の覚悟を会場の参加者と共有し、基調講演を締めくくりました。

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