自然に“優しい”電力活用!~「実質再生可能エネルギー100%」で運営される八ヶ岳のホテル~

再生可能エネルギー」という言葉は聞いたことがある方も多いかもしれませんが、その意味するところを具体的にご存知でしょうか?主に太陽光、風力、水力、地熱、太陽熱、大気中の熱、その他の自然界に存在する熱、バイオマスなど、「エネルギー源として永続的に利用することができると認められるもの」を利用して発電された電力などが「再生可能エネルギー」と言われています。

この再生可能エネルギーを実質100%利用しているのが、長野県南佐久郡の高原リゾートホテル「八ヶ岳グレイスホテル」です。なぜ、そのような自然環境に配慮した取り組みをされているのか、実際にどのように運営されているのか、その取り組みをご紹介します。

「再生可能エネルギー」が新たな柱に

「八ヶ岳グレイスホテル」が位置する八ヶ岳エリアは、夏は避暑地として、冬はウィンタースポーツを楽しめる観光地として人気です。同ホテルは、全客室から八ヶ岳を一望できるだけでなく、自社農園で採れた料理の提供や、星空案内人の資格を持ったスタッフによる星空観賞会など、地域の自然や文化を体感できる宿泊施設として知られています。

同ホテル支配人の小塩智也さんは言います。「当ホテルは『自然』『星』『野菜』を3本柱としてきました。四季折々の風景を楽しめるのが当地の魅力の一つですが、冬場はとても寒くなります。昨年の冬は一番寒い時で-28°Cでした。そのため、冬場の暖房費はかなりのもので、電気料金の削減は運営上の課題でした」

そこで、楽天のエネルギーソリューションサービスを提供する「楽天エナジー」が提案したのが、八ヶ岳の自然環境に配慮した「実質再生可能エネルギー100%で運営されるホテル」というコンセプトです。日照時間が長いという同ホテルの立地を生かし、ホテルで使う電力を太陽光で作る「自家消費型太陽光発電」設備の設置を提案。太陽光発電だけでは賄い切れない時間帯の電力は、「楽天エナジー」が供給する再生可能エネルギー由来の「J-クレジット(注1)」が付帯した電力を利用することで、実質的に再生可能エネルギーから調達している状態を実現するという仕組みです。

「年間100万円の電気料金の削減が見込めるだけでなく、自然との共生を大事にしている当ホテルにマッチしたやり方だと思いました。当ホテルは『自然』『星』『野菜』に加えて、『再生可能エネルギー』という新たな柱を得ました」と話す小塩さん。「この地域の他の宿泊施設などでも、同様のサービスが普及して、『実質再生可能エネルギー100%で運営される地域』となっていけば、それは地域の大きな魅力となり地元の観光業も大いに盛り上がると思います」

(注1)省エネルギー設備の導入や森林管理などの取り組みによる、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出削減量や吸収量を、国が「J-クレジット」として認証したもの。

 「Project R100」で環境に配慮した経営を目指す企業をサポート

世界的に、企業の長期的な成長のためには、ESG(Environment=環境、Social=社会、Governance=企業統治)という3つの観点が必要だという考え方が広まりつつあります。企業の環境への配慮が企業の評価にも影響を及ぼすようにもなってきていて、国内でもESGに取り組み始めている大企業もあります。

ただ、「小規模の組織体では、実質再生可能エネルギー100%の運営に取り組みたくても、独自に実現するのはなかなか難しいでしょうね。具体的に何を始めれば良いかの情報にたどり着くだけでも時間を要すると思います」と小塩さんは言います。

「八ヶ岳グレイスホテル」をきっかけに、「楽天エナジー」では、同様の手法により「楽天市場」の店舗や「楽天トラベル」の宿泊施設などの電力を実質再生可能エネルギー100%にする「Project R100」を開始しました。再生可能エネルギーの利用や環境に配慮した経営を目指す企業を、企業規模に関わらず、サポートしていくことが目的です。

また、サポートをより充実させるため、各企業が再生可能エネルギーの利用や温室効果ガスの削減等により創出した「J-クレジット」の販売や購入が行える「私設取引プラットフォーム(注2)」を、2017年12月に開設する予定です。

 (注2)法人のお客様が対象となります。

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「Project R100」概念図

毎日当たり前に使用する電力も、再生可能エネルギーの利用や、電力の調達方法を変えることで、環境保護や企業価値の向上につなげることができる時代になってきています。「八ヶ岳グレイスホテル」のように、自然に優しい電力を活用する企業が今後ますます増えていきそうですね。

 

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