創業25周年記念式典で三木谷が語った楽天の挑戦とこれから
楽天は、2022年で創業25周年を迎えました。今までの楽天の歩みに関わっていただいた皆様に感謝の気持ちをお伝えするため、4月14日に創業25周年を記念したレセプションを開催。祖業の「楽天市場」の店舗様をはじめ、金融やスポーツ、モバイルなどグループの事業に関わる取引先・パートナー様などから、ゆかりの深い方々を招いての開催となりました。ご祝辞をいただきました岸田文雄総理大臣をはじめ政財界からも多数ご参加いただき、総勢1,500名近くのお客様がご来場しました。
レセプションパーティー冒頭の挨拶で、三木谷は過去25年を振り返りながら、以下のように話しました。
「97年の楽天創業の頃は、インターネットのスピードが14.4kbpsで、今や1GBですから約10万分の1のスピードの時でした。インターネットが世の中を変えていくことを確信し、若者たちで楽天を立ち上げました。
現在では、従業員数は28,000人以上の会社となり、世界中で70を超える国・地域出身の従業員が働く会社となりました。
創業当初、『楽天市場』の初月流通総額は32万円でスタートしましたが、昨年はグローバル流通総額で約27兆円までになりました。元々はインターネットで人はモノは買わないと言われていた時代から、様々な形でビジネスを展開してきました。プロ野球参入、社内公用語英語化、携帯キャリア事業参入など、無謀と言われることもありましたが、やりきってきました。振り返ってみると今までの経営の常識を打ち破ってきた、挑戦し続けてきた歴史なのかなと思います」
現在までの楽天の成長について紹介しつつ、未来の展望について次のように話し、挨拶を締めくくりました。
「当時、インターネット革命は大体30年で終わると言われていたのですが、これからも量子コンピューティング、ブロックチェーン技術、NFT、IoTなど、世の中がインターネットで大きく変化していくと思います。これからの25年はさらなるエキサイティングな時代になっていくと思っています」
2030年に向けたビジョン
レセプション終了後には記者会見を開催し、三木谷より楽天グループの2030年に向けたビジョンが語られました。
三木谷はまず2030年に向けた3つの柱を挙げました。
データサイエンスやAI、完全仮想化ネットワークといった「テクノロジー」、7カ国・10都市の開発拠点、6,000人以上の多国籍エンジニアなども抱える優秀な「タレント」(人財)。そして、楽天グループとしてRE100の達成を図っていくなどの「サステナビリティ」。これら3つの柱を強化していくことで事業を劇的に成長させていくとしました。また、これらを軸に据えた策定中の中長期経営計画として、
- 売り上げ成長の持続(2021年は前年同期比+15.5%の成長)
- 利益率の成長(13.5% *モバイルセグメントを除く2021年度通期Non-GAAP営業利益率 → 20%超の水準へ)
- 「楽天モバイル」・「楽天シンフォニー」の大幅黒字化
を目指すというビジョンを示しました。
そのうえで、以下のように説明しました。
「今後の事業については、いくつかの方向性が生まれるだろうと思っています。ビジネスモデルのさらなる進化が必要になってきます。携帯事業もその一つです。今後はブロックチェーンをベースにした様々な金融事業の展開、NFTを含めて、今の日本人が考えている以上に発展するだろうと思っておりますし、その中で『楽天シンフォニー』を中心に世界進出を拡げていきます。それから、現在の海外事業、たとえばアメリカを中心で世界で展開しているオープンコマースの『楽天リワード』や、ヨーロッパで広がっている『Rakuten TV』、世界中で展開している電子書籍の『Kobo』やメッセージングアプリの『Viber』など、これからはプラットフォームを展開していく形になります。さらに、海外の携帯電話事業者との連携も拡げていきます」
日本を元気にするために“やりきる”
さらに、三木谷は日本の国際競争力を高めていくための展望についても語りました。
「元々、楽天創業の目的として、地方も中央も経済が活性化されることを目指してきました。新しい発想はベンチャーからしか出てこないため、スタートアップをいかに増やしていくかがとても重要です。もう一度、ジャパン・アズ・ナンバーワンを目指してやっていこうじゃないかと。楽天グループとともに、新経済連盟を含めて、盛り上がっていったらいいなと思います。そのために楽天は、日本を元気にするために25年経った今もやっています」
最後に、三木谷は新しい時代を生きる若者に向けたメッセージとして次のように話しました。
「インターネット革命は、これからの30年の方が凄くなりそうだと思っています。次から次へと新しいコンセプトが出てくる。これは人類史上最大のトランスフォーメーションになるのではないか。国という定義も変わりつつあります。変わる時には、やはりリスクを取らねばなりません。若い人は、挑戦的でワクワクするような新しいことがどんどん出てくると思いますので、恐れずに一歩前に出ることが大事です。そしてその時には、“やりきる”ことが重要だと思います」