「問い」から「アクション」へ―対話から未来をつくるDialogue for Change with Rakutenの取り組み
「自分の中にもあるジェンダーに関するバイアスに気付くには?」
「女性の起業家が増えることで地域を元気にできるのでは?」
「楽天が女性のエンパワーメント・リーディング・カンパニーになるには?」
そんなジェンダー平等や女性活躍に関わる様々な「問い」や、そこから生まれた「アクションを共有する場として、2023年1月、東京・楽天クリムゾンハウスで行った「Dialogue for Change with Rakuten」の活動報告イベントについてご紹介します!
「対話」に込めた想い
楽天では2022年、サステナビリティに向けた新たな取り組みとして、「Dialogue for Change with Rakuten」を開始しました。これは、未来に向けて、様々なステークホルダーの皆様と楽天が共に手を取り合い、社会を変革し、ポジティブなインパクトを生み出していくための、「対話」を起点にしたプログラムです。第1回となる2022年は「女性のリーダーシップとエンパワーメント」をテーマに、NPOや自治体、高校生など多様なステークホルダーの皆様と楽天の従業員が、組織や地域の枠を越えて約半年間にわたり対話を深めてきました(取り組み開始時の記事はこちらです)。
解決策を見出すことが難しい複雑な社会課題が増える中で、多様な人の多様な視点を持ち寄って社会変革のためのアクションをしていくことがますます重要になっています。そのためには、一つの答えを出す「議論」だけではなく、正解がないテーマを共に考え、ありたい未来を描くための「対話」が必要なのではないか?Dialogue for Changeの取り組みは、そんな想いから始まりました。
2022年7月、宮城県気仙沼市を舞台に実施された対話ワークショップには、NPOや自治体、学生など多様な方々と楽天従業員の有志が集いました。その後、楽天従業員は6チームに分かれて、それぞれが目指す未来に向けたアクションに取り組み、そこで得られた学びや気付きを、このたびの活動報告イベントで共有しました。
ここでは、イベントで共有された発表を一部ご紹介します!
女性のエンパワーメント・リーディングカンパニーになるために
出産や育児といったライフイベントと、キャリアを両立していくには――。1つ目のチームでは、社内でライフステージの変化に伴う困りごとを、互いに共有し解決するための環境づくりを目指し、社内でのヒアリングを重ねました。その結果、楽天には女性のキャリアをサポートするための各種制度や、有志従業員による社内ネットワーク「Family Empowerment Network」が存在するものの、それらの認知度が高くはなく、若年層とミドル層社員の交流・情報交換の場が不足している現状が見えてきました。
その問題意識を踏まえたアクションとして、ロールモデルとなる女性リーダーと交流し、キャリアの悩みを共有する場として、有志による社内イベントを開催。当日は、女性執行役員をゲストスピーカーに、参加者全員でライフイベントと両立しながら働くためのキャリアプランについて考えました。参加者からは、今後のキャリアについて前向きな気持ちになれた、といった感想が多く聞かれました。
この学びを活かして、部署や年代を超えた従業員同士の対話の場を継続し、会社の施策にも反映していく仕組みづくりを提案。楽天が女性のエンパワーメントにおけるリーディングカンパニーになるための道筋を描きました。
女性起業家が地域を元気にする
地域を拠点に活動する女性の起業家が増えることで、働き方の選択肢が多様になり、地域の活性化にもつながるのではないか。「女性起業家の支援」について考えた2つ目のチームでは、メンバー6名それぞれが異なる国の出身です。言葉の壁を乗り越えながら、気仙沼や石巻に住む女性にインタビューやアンケートを行い、地域における女性起業家の支援ニーズや、必要なプログラムを検討しました。
その結果、地域で起業する女性にとっては、事業計画やITスキル、マーケティングなどの専門的なサポートや、気軽に相談できる伴走者の存在が重要であることが見えてきました。そして、楽天の様々な部署の持つ専門性、従業員のスキルや経験を活かして貢献することができる、という気付きを得ました。今後も、女性起業家を応援するプログラムを実現するべく活動を続けていきます。
マリンスポーツで自己効力感を高める
スポーツの力を活用して女性リーダーが活躍できる社会を目指す3つ目のチームは、気仙沼の「かぶとむしSurf Shop」を経営する鈴木優美さんと対話しました。その出会いを通じて、「自然を相手にするマリンスポーツは、他人と比較するのではなく自分自身と向きあうため、性差に関わらず自己効力感(注)の向上につながるのではないか」と仮説を立てました。そして、スポーツを通じて子どもたちの自己効力感を高めるためのアクションに取り組みます。
2023年1月、優美さんを講師に、気仙沼の小学生に向けてSUP(スタンドアップ・パドルボード)教室を開催。寒い時期であったため海ではなくプールでの開催となりましたが、参加した子どもたちから「できるという気持ちになった」との声があがり、マリンスポーツと自己効力感のつながりを感じることが出来ました。優美さんからは、「この経験が子どもに思い出として残り、気仙沼という故郷への想いにもつながればいいと思います。また、海でお会いしましょう!」とのコメントをいただきました。
(注)自己効力感:「自分ならできる」と自分の可能性を認知していること。
対話から次のアクションへ
イベントの後半は、参加者全員での対話パートに入ります。各チームの発表を受けて、今後のさらなるアクションに向けて、NPO、行政職員、学生を含む多様な参加者の皆様と共に対話を深めました。また、7月から続いたDialogue for Changeの取り組みを振り返りながら、それぞれの学びや気付きを共有しました。
最後に「明日から取り組むアクション」を全員が宣言。「オンラインだけではなく、人と直接会うことを惜しまない」「新しく会う人や、若い人たちと対話していく」「自分の組織でも、対話の場を作っていく」といった宣言が生まれ、前向きな熱気に包まれて1日を締めくくりました。
今後の広がりに向けて
お越しいただいたゲストの皆様からは、以下のようなコメントをいただきました。
「気仙沼でまちづくりに携わっているものとして、今回の対話の取り組みには非常に希望を感じました。Changeを求められているのは企業も地方も同じだと思いますし、自分たちの活動においても次につながるヒントをたくさんいただきました。これから、対話のムーブメントが全国に広がるのが楽しみです。」(一般社団法人まるオフィス代表理事 加藤拓馬さん)
「行政においても、市民との交流など、様々な場面で対話の重要性を日々感じています。このような取り組みが、今後全国の地域同士をつなげるきっかけになると思いますので、これからの活動も期待しています。」(気仙沼市人口減少対策統括官 菅原千枝子さん)
「女性のリーダーシップとエンパワーメント」をテーマに実施した今回の「Dialogue for Change with Rakuten」。対話を通じて得られた気付きや学びを、楽天の取り組みにも反映していくとともに、日本社会全体でのジェンダー平等の実現を目指し、積極的に社会へ発信していきます。
そして、楽天はこれからも様々なステークホルダーの皆様と、様々なテーマで、対話の活動に取り組んでいきます。今後の発信に引き続きご注目ください。