「楽天ドローンアカデミー」に行って、国家資格をとってみた!(中編)
楽天のドローン事業の要の一つ「楽天ドローンアカデミー」。ドローン未経験者であるRakuten.Todayチームの特派員である私がアカデミーに実際に通ってみて、国家資格の取得に挑戦するという本連載。前編では、ドローンの基本知識や、楽天がどのようにドローン事業に取り組んでいるかについてお伝えしました。中編となる今回はついに、「楽天ドローンアカデミー」受講の模様をご紹介します!
そもそもドローンの国家資格って何?どうやって取るの?
国土交通省は、「無人航空機操縦者技能証明」を「ドローンの国家資格とは無人航空機を飛行させるのに必要な技能(知識及び能力)を有することを証明する資格制度」と説明しています。
法令上、2024年6月時点では、国家資格を持っていない人でも所定の手続きを行って国土交通省から承認を受けることで、ドローンを飛行させることができます。しかし国家資格なしでは許可される飛行方法がかなり限られており、ドローンを最大限に活用したり楽しんだりするためには、国家資格を取得することは必須とも言えます。
「無人航空機操縦者技能証明」を取得するためには、以下のプロセスを経る必要があります。
①「技能証明申請者番号」の取得
※技能証明書の交付手続きにおいて、申請者を特定するために必要な番号
②学科試験への合格
③実地試験への合格
④身体検査への合格
これらをすべてクリアすることで、ようやく国家資格を取得できます。もちろん、すべて独学で行うこともできますが、ドローンスクールに通い、学科試験対策の勉強やスクール施設内でドローン飛行の練習をして実地試験の免除を受けた方が効率はよいと感じました。
なお、「無人航空機操縦者技能証明」はその技能・知識レベルによって「一等無⼈航空機操縦⼠」と「二等無⼈航空機操縦⼠」に分かれており、「一等」の方がより難易度の高い資格となります。
「楽天ドローンアカデミー」で受講してみた!
「楽天ドローンアカデミー」は東京校とみなかみ校の2校ありますが、私は東京校で「二等無人航空機操縦士 初学者コース」を受講しました。
東京校は都営地下鉄新宿線の船堀駅から徒歩10分程度の距離にあり、「ドローンのスクールは、車移動が必要な郊外にあるのかな?」というイメージを持っていた私にとって通いやすい環境でした。
余談ですが、まわりにおいしい料理を食べられるお店がいくつかあるのも嬉しいポイント。講師の方々がおすすめのお店を教えてくれるので、レッスン受講の合間にある休憩時間にお店に行ってご飯を堪能し、次のレッスンに向けてモチベーションを高めることができました。
私が受講した「二等無人航空機操縦士 初学者コース」は、「二等無人航空機操縦士」を取得するための最低要件を満たすためのコース。コースの内容として、資格取得の最低要件である、10時間の学科講習と10時間の実地講習が含まれています。
受講に向けて、まず一番先にやらなければならないのは講習ではなく、「技能証明申請者番号」の取得です。この「技能証明申請者番号」がないと、本コースの修了審査に合格しても、実地試験が免除されないので、大変重要な手続きです。
「楽天ドローンアカデミー」では、この「技能証明申請者番号」をアカデミーに通知しないと、レッスンを予約することができないため、ちゃんと取得できるか不安でしたが、講習の受講案内時にもらったマニュアルのおかげで簡単に手続きが完了。こういう細かいところへの配慮も、受講者にとってありがたいポイントの一つだなと感じたのでした。
無事に技能証明申請者番号の登録を終えた後は、オンラインで受講できる学科講習を履修します。無人航空機操縦士の学科試験は、国土交通省が公開する「無人航空機の飛行の安全に関する教則」を基に出題されます。どの内容も欠かすことができない重要なものなので、しっかりと教則を読み込んで理解する必要があるのですが、航空法上の規制の具体例など、独学ではなかなかイメージがつきにくい部分がありました。
「楽天ドローンアカデミー」ではオンライン学習動画を受講者に提供していて、教則の内容を分かりやすく図解したテキストを使いながら、実際にアカデミーで教えている講師が具体例を交えながら解説してくれます。一度では分からない部分もいつでも見返すことができますし、各章の合間に理解度を確認するテストがあり、最後には模擬試験も用意されていました。各問題には解説が付いているだけでなく、過去の解答結果を閲覧することができたので、学科試験の弱点対策として心強い味方になってくれました。
いざ、ドローンを飛ばす時!
オンライン学科講習を修了すると、次はお待ちかね!実地講習です。実地講習は、オンラインの予約システムを通じて受講日を決めていきます。
私は本コースの受講を決める前に無料操縦体験会に行き、そこで初めて本物のドローンを見たのですが、最初の印象は「思ったよりプロペラ音が大きい!」でした。ヘリコプターと同様に空気を巻き込み、その力で機体自らを浮き上がらせている、と思うと大きな音になるのも納得なのですが、なんとなくドローンを「空飛ぶかわいいもの」くらいに思っていた私は衝撃を受けました。
コントローラーの基本的な持ち方と操作方法の説明を受けたら、機体のスイッチを入れ、さっそく飛行練習開始。離着陸の方法や、上下左右の移動、方向転換のやり方を学んでいきます。かなりソフトタッチで動かさないとドローンが速く動きすぎてしまうため、慣れないうちは制御が効かなくなってしまうことも。皆さんが想像している10倍は優しく操作しないといけないくらい繊細な操作技術が求められるのですが、講師の方がいつでも隣で指導してくれて、私が誤った操作をしてもマスターコントローラーでサポートしてくれるので、安心して取り組むことができました。
ある程度操作に慣れたら、二等無人航空機操縦士の実地試験の内容に沿って、以下の3つの飛行技術のマスターを目標に練習していきます。
①スクエア飛行
3.5mの高さで5秒間ホバリング(同じ位置にとどまり続ける飛行)をした後、目印に沿って“四角形”を描くように飛行します。進行方向の合わせ方や、目印の位置で機体を止める方法を学びます。
②8の字飛行
1.5mの高さで“8の字”の形に2周飛行します。前進と方向転換を同時に行う必要があり、単に直進飛行させるよりも、スピード調整が難しかったです。
③異常事態における飛行
GPSなどの位置安定機能がオフになっている状態で、3.5mの高さでホバリングをした後、1つ目の目標地点まで行き、2つ目の目標地点に向かう途中で緊急着陸を行います。
ドローンは位置安定機能がオフになっていると、操作しなくても勝手に移動してしまうため、パイロットが自身で細かくコントロールする必要があります。
また「楽天ドローンアカデミー」では、実機での操作練習だけでなく、シミュレーターを使った練習も行うことができます。実機では誤った飛行をすると講師の方が傍で指導してくれますが、シミュレーターではそうは行きません。操作において難しいポイントを体で覚えるまで、何度もドローンを墜落させてしまいました。実機よりも繰り返しの練習を短時間で行うことができるため、やってはいけない操作が学べる便利な練習ツールでした。
また、実技の練習の合間に、機体の状態チェックや起動・終了手順を覚えているかを確認する「口述試験」やドローンを飛行させる計画の内容に問題がないかなどをチェックする「机上試験」の対策もアカデミーで行えます。学科試験で間違いやすいポイントの確認も都度行えるため、自然と反復学習ができ、講習修了時に必要な知識を身に付けることができたのがとてもありがたかったです。
およそ20時間にわたるすべての講習を終えた後は、いよいよ修了審査です。
スクールの講師の方々が試験官として採点してくれるのですが、普段の講習中は気さくにアドバイスしてくれる講師陣も、この時ばかりはシビアに減点箇所がないかチェックしているため、普段とのギャップを感じて、内心とってもドキドキしました。終わった後はやっぱり親しみやすい、いつもの様子に戻って合格を祝福してくれるので、そんなにドキドキする必要はなかったな、と審査終了後には思いました。
講習の内容が手厚いので、たとえ未経験者でもしっかりと受講していれば、大きな問題なく合格できると思います。まったく未知な分野の国家資格取得への挑戦でしたが、自分自身の成長と、新たな視点を獲得するよい機会となりました。
国家資格までは……けどドローンを触ってみたい!という方にも
「楽天ドローンアカデミー」では、ドローンを触ってみたいけどいきなりコース受講はちょっとハードルが高い……という方でもご参加いただける無料操縦体験会を開催しています。45分程度でドローンの機体や資格などについての説明を聞き、15分ほどシミュレーターで操作を体験後、実際にドローンを飛ばすことができます。この記事をご覧になって少しでも興味が湧いたよ!という方は、ぜひ体験会に行ってみてくださいね。
また、15分の実技じゃ物足りない……という方には、2時間の実地講習がある「1Day トライアルコース」もおすすめです!
▼コース詳細はこちら
https://academy.drone.rakuten.co.jp/course/1day_trial/?l-id=course-beginner_course_trial
▼体験動画も公開中!
https://youtu.be/nokaqCFWpB4
連載の最終回となる次回の後編では、改めてなぜ国家資格が必要なのか?というお話と、楽天がドローンスクール事業に取り組む理由を解説します。