店舗様と共に創る。「楽天EXPO 2022」三木谷基調講演レポート

7月21日、楽天は毎年恒例となる「楽天市場」の出店店舗を対象としたイベント「楽天EXPO」を、東京都内会場とオンラインのハイブリッド型で開催しました。創業25周年という節目となる今年のテーマは「店舗様と共に創るEXPO」。多くの店舗さんも登壇し、店舗運営のノウハウ等が共有されました。リアルとオンラインで3万人以上が参加・交流し、熱気あふれるものとなりました!

本記事では、本イベント冒頭で登壇した社長の三木谷による基調講演の内容をご紹介します。


皆さんこんにちは。創業25周年という節目の年に、ハイブリッドではありますけども、対面も含めて「楽天EXPO」を開催できることを大変嬉しく思っています。最初に、様々な世界情勢の中で、インターネットがどうなっていくのかという話をさせていただきたいと思います。

リスク環境下も、大きく伸びるインターネットショッピング需要

今、世界には様々なリスクがあります。例えば、日本では円安が進んでいます。コロナも新しい変異株がでてきました。このような不確実性のある環境下でも、日本のインターネットショッピングの需要は、特に昨年、非常に大きく伸びました。なかなか外出も旅行もできないという中で、じゃあネットで物を買おうということになったわけですが、このような行動変容が起こったということが一番重要です。

日本は欧米と比べるとデジタル化がまだ遅れているわけですが、そのギャップというのは、これからどんどん縮まっていくだろうと思っています。そうした中で、楽天グループが提供しているサービスや店舗さんが提供している商品の、どこに価値があるかということを、もう一回見直してしっかりと再定義することが重要になってきます。

日本のインターネットショッピングのマーケットシェアは、現在7~8%。世界全体のデジタル化は欧米でもっと速く進んだわけですが、日本も流れはなだらかなものの、おそらく帰結点は同じであり、いずれ日本のシェアも20%を超えていく、つまり今から3倍以上に増えていくことでしょう。

止められないデジタル化。拡大を続ける楽天エコシステム

社会自体のデジタル化により、コンテンツも、映画やドラマを見るのもネットが中心になってきました。また、これから世界中でおそらくデジタル化された貨幣が大きく流通するでしょう。様々な新しいコンセプトも出てきますし、このデジタル化の進行はもう止められないと思っています。そんな中、楽天エコシステムはどうなっていくのか、皆さんの店舗の運営、売り上げや業績にどういうふうに反映されていくのかというお話をさせていただきます。

おかげさまで、今年25周年ということで、楽天IDは国内で1億、サービス数も70以上になりました。「楽天ポイント」の累計発行は3兆ポイントを突破し、年間1兆のポイント発行という時代も近いのかなと思います。月間のアクティブユーザーは、現在3,600万を超えてきています。そのユーザーの皆さんの中の74.8%が2つ以上のサービスを使っているという、これが単純なショッピングだけでなく、様々なサービスを組み合わせることによる楽天の強さと言えます。さらに、楽天グループのサービスだけで完結するのではなく、「楽天ポイント」の加盟店や、ぐるなびさんと組んでレストランでポイントが使えたり、西友さんをはじめ様々なスーパーマーケットとも提携を進めたりしていて、どんどん経済圏を広げていこうとしています。

「楽天モバイル」契約者は、「楽天市場」での購買額54%増

楽天回線エリアの4G人口カバー率が97%に到達した「楽天モバイル」ですが、そのユーザーの約80%が「楽天市場」も利用されています。また、結構衝撃的なのは、「楽天モバイル」に入ると、「楽天市場」での買い物の金額が54%増えるということでした。私は正直、さすがにそれは数字が良すぎるだろうと思い精査を重ね、何回も精査したのですが、確かに54%伸びていました。「楽天モバイル」の成長が「楽天市場」の成長に非常に密接に関係しているということが分かるかと思います。

こうしたことを強化していく取り組みの一つが、SPU(スーパーポイントアッププログラム)の達成条件の一つである「楽天モバイル」のご利用で+1倍。それに加えて、「Rakuten UN-LIMIT VII」に契約をしていると+1倍、ダイヤモンド会員ならさらに+1倍となり、SPUと合わせて「楽天市場」でのお買い物が最大16倍になるというものです。本特典は6月より、「楽天モバイル」契約者を対象に適用しており、このような取り組みで、「楽天市場」のロイヤルユーザーをさらに増やしていきたいと思っています。

「楽天市場」の付加価値の源泉とは

これから「楽天市場」がどういうプラットフォームに進化させていこうと考えているのか、どうやってサービスをさらに強化していこうと思っているのかという話をさせていただきます。

もともとデジカメもないような時代から、このサービスを創ってこられたのは、インターネットとインターネットショッピングが普及していくと、こういう仮説というか夢、そういう想いを持って皆さんに集まっていただけたからだと思っています。「楽天市場」の付加価値の源泉というのは、お客さんを喜ばせたいという、やる気に満ちた店舗さんの集合体であることなのだと思っています。プラットフォームとして、とにかく魅力的な売り場にしようということが大事です。

特に大型セール。これは非常に効果的です。2年平均成長率、毎年約30%伸びております。その一番大きいのは、3カ月に1回開催されます「楽天スーパーSALE」です。20時のスタートの瞬間にそれまでの時間の約32倍の注文数が来る。そこでドーンと買うということなので、そのエキサイトメントというものを皆さん感じていらっしゃるのではないかと思います。

2つ目は、より購入しやすくするということで、送料の統一化と、もう少し個別の商品をいろいろな形で売れるようにしていきましょうというSKU(Stock Keeping Unit)対応というものがあります。「(共通の)送料込みライン」については、皆さんにご協力いただきまして本当にありがとうございます。今93.3%の店舗さんにご参加していただいており、何とか早く95%まで持っていきたいなと思っています。これによって、具体的に消費者さんの、ショッピングしていただくお客さんの評価がどういうふうに変わったかということですが、「楽天市場」の送料に対する満足度評価が16.9ポイント増加しました。

3つ目はロジスティクスです。おかげさまで、日本郵便さんとの協業がどんどん進んでおります。その中で、やはり物流をいかに効率化、精密化、迅速化するかというのが大きなポイントになるわけです。現在、福岡・多摩・八尾にほぼ自動化、省人化された物流施設を準備しています。これらが、習志野、流山、市川、中央林間、相模原、川西、そして枚方に加わって、開設されていくことになります。

「楽天スーパーロジスティクス」もおかげさまで5,000以上の店舗さんにご利用いただいています。本当に効率的で迅速な配達ができていて、「楽天スーパーSALE」でも遅れがまったくないような状態に近づきつつあります。「楽天市場」の注文の20%がすでに楽天フルフィルメントセンターからの出荷になっています。

多様化するニーズに応えるだけでなく、環境への配慮でさらなる進化を

もう一つは、できるだけ環境に優しい配達をということで、アプリを利用して、まとめて持ってきてもらうようにしたり、お届け日の表示をより精緻化したりしています。そして日本も少子化が進んで人材が不足してくるという時代に向けて、ドローンやUGV(自動配送ロボット)を使った配送というものを、もう始めておりますけれども、これからどんどんと強化していきたいと思っています。

今、倉庫から(引受局や配達区分局を経由せず)日本郵便さんの配達郵便局まで直送するという、間をすっ飛ばして早く持っていくということを行っています。AIを活用することで、コストも安くさらになりますし、一番早く届けることができる。もう間もなく、「あす楽」を通り越して「きょう楽」というのができるところにまでなりつつあります。

おかげさまで、「楽天市場」のNPS(注)はこの5年半から6年の間に大きく向上しました。また、「ブランド・ジャパン2022」の中でも、(「楽天市場」は他に比べて)特異なサービスだと思うのですが、「YouTube」、「Google」、「日清食品」、「無印良品」に次いで5番目となりました。これもまた本当に皆さんのおかげです。


それでも、さらに良くしていきたい、さらに安全にしたい、さらに便利にしたいという中で、やっぱりどうしても避けて通れないのが環境問題だと思います。

楽天グループとしては、サーキュレーション・エコノミーといいますか、再利用商品の流通促進というものも、これからさらに強化していこうと考えております。それからグリーンライフ・ポイント事業ということで、環境配慮行動に対しポイントを付与するという環境省の事業の一つに選んでいただきました。こういうことをきっかけに、皆さんと一緒に環境問題についても積極的に取り組んでいきたいと思っています。

不確実性の中にいるからこそ、より強いパートナーシップを

この25年間、一貫して変わらないことは、「我々にとって店舗さんがすごく大切だ」というこです。本当に世界でも冠たる、人間味があふれて楽しくてワクワクする、そういうショッピングモールを一緒に作っていきましょう。やはり商売を大きくしながらも、ワクワク感をどうやって築いていくか。そういうものを、店舗の皆さんと一緒に創っていくということが楽天グループの在り方なのかなというふうに思っています。

「共に、次の未来へ」とあるように、「皆さんも良し、お客さんも良し、楽天グループも良し」というWIN-WIN-WINの関係を築いていきたいと思っています。これから色々なこともあるでしょうし、もしかしたらコロナの脅威がさらに拡がるかもしれない。あるいは世界平和についてもどうなるかわからない。けれども、そういう不確実性の中にいるからこそ、我々のパートナーシップというものを一層強化し、一緒に頑張っていきたいと思いますので、これからもどうぞよろしくお願いいたします。

どうもありがとうございました。

(注)NPS(Net Promoter Score=NPS®)は、ユーザーロイヤルティを測る指標であり、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリクス・システムズの登録商標。

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