多様性、異文化相互理解の扉をひらく―楽天社内ムスリムコミュニティー主催のラマダンをレポート

多くの人が「ラマダン」という言葉は聞いたことがあるかもしれませんが、実際に「ラマダン」とは一体何かご存知でしょうか?「ラマダン」とは、イスラム教徒がイスラム暦の第9月に、日の出から日没までの間は食事、飲食をせず、日没から日の出までの間だけ食事をし、禁欲して敬虔な生活を送ることでイスラム教への信仰心を深めるというものです。

2015年にピュー・リサーチ・センターが行った世界の宗教人口調査では、キリスト教の約23億人につづき、約18億人で2位となったイスラム教。日本には約10~20万人のムスリム(イスラム教徒)が生活していると言われています。近年、少子高齢化による将来的な人材不足が危惧される日本社会において海外からの人材雇用は一般的となり、社内環境に求められる条件として国籍や文化そして宗教など多様性の理解を深め、受け入れることが重要視されています。

楽天においても様々な宗教、文化を有する国からの社員の数は年々増えており、「ラマダン」の最中である5月31日には、ムスリム・コミュニティーのメンバーが中心となり、イスラム文化の紹介を主旨とした懇親会がカフェテリア(社員食堂)にて開催されました!

イスラム教徒以外の社員にもイスラム教や「ラマダン」について知ってもらおうと、2016年のコミュニティー設立から2年目にして初めて自由参加型で開催されました。終業後、イスラム教信仰の有無を問わず約100名の社員がカフェテリアに集合。日没時にアザーン(礼拝への呼びかけ)を聞いた後、イフタール(断食明けの食事)を共にし、「ラマダン」について学び、親交を深めました。

この聖なる月の約1カ月間は、早朝2時頃には起床。スフールという断食前の食事のあと、1日5回ある最初のお祈りをし、日の出から日没まで飲食せず、お昼時と夕方4時に再度お祈り。そして、日没後7時前の家族とのイフタールに間に合うように急いで帰宅してお祈り、そして夕食を食べて夜にモスクで最後のお祈りを捧げて1日を終えるというのが一般的なのだそう。会社勤めをする日本人にとって、早朝2時に起きて朝ご飯と昼食抜き、水も飲まずに会社で仕事するのは想像しづらいかもしれません。

懇親会の司会進行を務めたのは、コミュニティーのリーダー的存在であり、コーポレート情報技術部に所属する入社5年目のFaroukさん。イスラム教に関する紹介と、ラマダン期間中に行われる断食について、和んだ雰囲気の中、プレゼンテーションが行われました。断食の方法、断食が健康に良い点、飲食だけでなく喧嘩、嘘や陰口、喫煙、性交渉などのラマダン中の禁止行為など、日本ではまだあまり見られない習慣が紹介されました。

「仕事中お腹はすかないの?」や「妊婦さんや体調の優れない人は?」など、イスラム教徒ではない社員からの純粋な質問も投げかけられていましたが、多くのムスリムの方たちはこの聖なる月を楽しみにしていて、断食をすることにより精神、肉体的にも健康的に感じると答えていました。ちなみに、健康面や旅行などの理由で断食ができない場合は、他の時期に行うことができるそうです!

5年前にFaroukさんが入社した時のムスリム社員の数は30人程度。それから年々人数は増え、現在は100名程となりました。入社当時の楽天のカフェテリアでは、ハラール食(イスラム教の戒律で許可されている食べ物)の対応も、祈祷室の設備も社内にありませんでした。そこで、ムスリム社員が会社に希望を出し、ハラール対応の昼食として専門業者によるデリバリーのお弁当が提供されるようになったそうです。2015年の新オフィスへの移転では、設計当初からカフェテリアでのハラールコーナーの設置や祈祷室が加えられ、昨年には、ウドゥ(祈りの前に体の一部を清め洗う)のための洗い場が設けられました。

「入社当時、社内にムスリムコミュニティーがあるのを知り、日本で働くことの不安が解消した」という方も多くいました。
マグリブと呼ばれる日没時の礼拝。いつものカフェテリアの一角に神聖な雰囲気が生まれました。
普段イスラム教について学ぶ機会がなかった社員も、同僚に誘われて参加する人が多数。お互いに教え、学び合う姿が印象的でした。

企業からの宗教、文化に対する配慮に感謝されるイスラム教徒の社員も多く、「楽天には、他のどの企業よりもムスリムフレンドリーな環境と、それを理解しようとする姿勢を感じます」というコメントを聞くことができました!

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