Dialogue for Change with Rakuten:AI時代の「豊かさ・幸せ」とは?

※本記事は、以下の「Rakuten.Today(英語版)」で掲載された記事を抄訳したものです。
https://rakuten.today/blog/dialogue-for-change-with-rakuten-what-is-happiness-in-the-age-of-ai.html

生活のあらゆる場面でAIの存在感が増す今、「テクノロジーと共生する、豊かで充実した人生」とは、一体どのような状態を指すのでしょうか。また、私たちはこの社会の変化とどう向き合い、どのような未来を形作っていけるのでしょうか。

こうした問いは、楽天の「対話」を起点としたプログラム「Dialogue for Change with Rakuten」の核となるテーマでもあります。今回は、未来を担うリーダー候補である楽天の内定者の皆さんとコラボレーションし、対話の機会を設けました。

これまでもサステナビリティ推進部主導のもと、社会の様々な課題について対話を重ねてきたこのプログラム。その哲学を礎に、今後誰もが直面するであろう「AI時代における『豊かさ・幸せ』とは?」というテーマで対話を実施しました。

結論ファーストではなく、対話から始める

本プログラムでは、二項対立的な議論ではなく、多様なコミュニティのステークホルダー同士による真摯な対話こそがお互いの知と可能性を引き出し、複雑化する社会課題に対するより良い解決策を見出す鍵になると考えています。

サステナビリティ推進部が2022年に本プログラムを立ち上げた背景には、「社会変革は対話から始まる」という仮説がありました。複雑化する社会課題に対して、プラットフォーマーである楽天には、多様なステークホルダーと連携し、より良い未来を共創していく場を作る使命があります。しかし単に人を集めるだけでは、真の意味での「共創」には至りません。

「真の共創には効果的な対話が不可欠です。しかし、それは自然発生的に生まれるものではないため、適切なスキルや仕組み、そして対話に臨むマインドセットを整えることが重要です」とサステナビリティ推進部 Shiinaさんは語ります。一方で、そのような対話への知見がまだ社会全体で体系化されていないという現状もありました。

このような背景のもと、本プログラムは、誰もがいつでもどこでも効果的な対話を行い、その機会を通じて社会にポジティブなインパクトを生み出していくためのプラットフォームとなることを目指しています。

なぜ今、AIなのか

「『AI』という革新的な技術と、『幸せ』という人間らしさ。これらは一見すると相反するものに思えるかもしれません。しかし、私たちは『本質的には共存可能なものである』という前提に立ち、深く思慮に富んだ対話を生み出したいと考えました」とShiinaさんは語ります。

「二項対立」という単純な構図ではなく、社会の「グラデーション」を探求する視点は、現在特に重要性を増しています。今回、対話のテーマにAIを選んだのには、3つの理由があります。

  1. AIが社会の中心になりつつあること
    AIは今や社会全体のトレンドであり、楽天においてもあらゆる活動の核となっています。

  2. 異なる立場による価値観のクロスオーバー
    楽天従業員と、会社の未来にとって不可欠な視点を持つ次世代人材。異なる立場や価値観を持つ者同士がAIとの向き合い方・捉え方の価値観を共有しあうことで、新たな視点の獲得・学びが生まれると考えました。

  3. 正解のないテーマであること
    「AI時代における『豊かさ・幸せ』」とは、簡単に答えを出すことができず、また正解がないテーマです。簡単に答えが出ないテーマにこそ、対話を通じて深堀りを行う重要性があります。

AIは急速に進化しており、人々は期待と不安の両方を感じています。効率化を推進する存在である一方で、情報の正確性や権利侵害などの問題、さらには雇用への不安といった懸念も高まっています。

本プログラムでも、多くの参加者は当初、AIに対して期待と不安の両方を抱いていました。「技術的な側面だけでなく、AIとの付き合い方を考える場を作ることも重要であり、対話を通じて機会とリスクの両方を深く理解したうえでどう関わるかを明確にする。それこそが、真の『AIリテラシー』を築くことにつながる」とShiinaさんは語ります。

内定者たちの視点

内定者として参加したYunaさんにとって、この体験はAIについて考える新たな道筋となりました。

「最も心に残ったのは、AIをポジティブとネガティブの両面から見ることの重要性です。私たちはどちらかで捉えてしまいがちですが、将来の充実した人生を考えるうえでは、両方の視点を理解することが不可欠だと感じました」

また、プログラムが作り出した環境にも感銘を受けたといいます。

「心理的安全性が保たれ、オープンに対話できる環境が強調されていたことに特に感銘を受けました。人々が安心して率直に話せる場を作ることの重要性を実感しました」

こうした視点の変化は、他の参加者とも重なりました。

同じく内定者として参加したTakumiさんは、プログラム参加前、AIは「個人的な利益や幸福にのみつながるもの」として捉えていたと言います。しかしプログラム参加を経てその考えは大きく変化し、AIは社会全体の幸福にも貢献し得る存在であるという気づきを得たと言います。

さらに今回の経験は、Takumiさんにとって「人間特有のスキル」を再評価するきっかけにもつながりました。他者とどのように向き合い、どのようにつながりを築いていくか。そうした人間ならではのコミュニケーション能力こそが、AI時代においてますます重要になるはずだという、新たな発見を語ってくれました。

対話が明らかにしたもの

このプログラムの重要な特徴は、複雑で困難なテーマを掘り下げるために、対話の手法が体系化されている点にあります。実際にプログラム参加者も、従来とは異なるアプローチが印象的だったと振り返ります。「AI時代の幸福」という大きな概念を抽象的なまま議論するのではなく、一つずつ深く掘り下げていく。そのようなプロセスを経て、複雑な問いに対する解像度を高めていったといいます。

そうすることで議論に明確な方向性が生まれ、より深い洞察が可能になりました。物事を要素ごとに分解することは、思考を研ぎ澄まし、より良い結論を導き出すための重要な鍵となるのです。

また、内定者として参加したRyotaさんは、時代が変わっても揺るがない「幸福の本質」について意見を述べました。「幸福の本質」は、人間同士のつながりや周囲との関係性を大切にし、人生を心から楽しむことにあるのではないかという気づきがあったと言います。

プログラム参加者だけでなく、主催者である人材開発部 Nanakaさんも「人間同士のつながりへの再評価が際立った」と指摘します。AIが効率化や自動化を推進する現代だからこそ、実際の対話から生まれる創造性や独自のアイデアが、今後ますます重要になると多くの参加者が確信を深めていきました。

あるグループでは、「真の幸福を追求するために、果たして本当にAIは本当に必要とされるのか」というシンプルな問いから議論が始まりました。しかし対話が進むにつれ、その見方は次第に変化していきます。最終的には、自身の価値観や自分らしさを持ちながらAIと共働することで、これまで以上に真の幸福に近づけるのではないか、という前向きな結論に至りました。

対話から長期的なインパクトへ

サステナビリティ推進部が掲げる本プログラムの将来的な目標は、シンプルかつ壮大なもので、他者の影響力を引き出し、多様な視点を持った思考で新しいアイデアを創造する、社会変革をリードする「チェンジメーカー」の育成です。こうした「チェンジメーカー」が増えることで、コミュニティ全体にポジティブな波及効果が生まれ、社会の複雑な課題に対しても、より柔軟かつ協力的な姿勢で立ち向かえるようになると信じています。

プログラムを終え、参加者はAIが社会にもたらす影響について、より思慮深く前向きな見方へと変化しました。

重要なのは、複雑な課題に直面している時こそ、有意義な対話を絶やさないことです。対話は困難な問題から目を背けるのではなく、真摯に向き合い続けるための道しるべとなります。この粘り強さこそが、より強靭で持続可能な社会を築く基盤になると考えています。

AIが急速に進化する現代において、未来を予測することは容易ではないかもしれません。しかし、このプログラムが示している通り、結論を急ぐのではなく、まずは対話から始めること。それこそが私たちが歩むべき未来を切り拓く、重要な第一歩となっていくのではないでしょうか。

※プライバシー保護の観点から、内定者名は仮名としています。

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