コミックコンテンツ市場で台頭!「Rakuten Content Central」のコミックプロデュース力とは?

近年成長を続けているコミックコンテンツ市場。デジタル配信の普及によりコミックは今世界中に読者を獲得し、さらにアニメ化、ドラマ化と二次展開により大きな広がりをみせている。そんな中、頭角を現しているのが楽天でIP(知的財産権)開発からコンテンツの包括的なプロデュースまでを行うコンテンツレーベル「Rakuten Content Central」(楽天コンテンツセントラル)のコミックプロデュース事業。IP(知的財産権)開発からコンテンツのプロデュースまでを手がける楽天のコンテンツ事業部で、2024年1月の市場参入以来、これまで70以上もの作品をリリースし、数々のヒットを飛ばしてきた。果たして、「Rakuten Content Central」躍進の理由とは?「Rakuten Content Central」コミックプロデュース事業担当Gilさんに話を聞いた。

——コミックコンテンツ市場が今活況を呈していると聞きます。市場の現状と動向についてお聞かせください。
Gil: 近年のコミックコンテンツ市場は、紙・電子に加え、縦読み(スクロール)コミックを中心とした新しい読書体験がグローバルに定着しつつあります。とりわけ存在感を示しているのが韓国です。韓国は縦読みコミックの発祥地であり最大級の供給地で、内需と同時に輸出産業としてこの20年間発展を続けてきました。
さらに近年は、アニメ・ゲーム・映像化など、コミックの二次展開を前提とした、いわゆる“IP開発型”の動きが強まっています。例えば日本でも有名な『梨泰院クラス』はもともと韓国の縦読みコミックで、ドラマ化など二次展開され、グローバル化されていきました。縦読みコミック市場は今後も拡大が続くと見込まれており、2025年の約108.5億米ドルから、2030年には約483.1億米ドルまで成長するという予測もあります(注)。
——「Rakuten Content Central」がコミックコンテンツ市場に参入した動機・市場におけるポジションとは?
Gil: 従来の「Rakuten Content Central」は、ライセンス契約により他社のIPを活用し、商品開発を行ってきましたが、オリジナル作品作り自体もコンテンツになるという考えのもと、市場に参入を決めました。
我々が軸としているのは、個々の作品が持つ強みを最大化するプロデュースです。国や言語、読者層、そして各プラットフォームの特性をふまえ、その作品にとって最適な流通を組むことで、作品価値を中長期的に育てています。加えて、我々の独自性として、楽天グループのエコシステム(デジタル接点、ビッグデータ、EC等)との組み合わせによるIP展開化が挙げられます。日本はもちろん世界でも、二次展開を組織的に回すインフラが整っている企業はまだ限られるように感じます。「楽天エコシステム(経済圏)」とコミックを掛け合わせれば、新しい市場を開拓できる余地は大きく、無限に展開できると信じています。
——Gilさんはプロデューサーとして、作品にどのように関わっているのでしょう。
Gil: 作品の取り扱いには2パターンあり、既存のコミックの流通権を獲得し、翻訳をして日本で展開していく、いわゆる調達がまず一つ。私は主に韓国を中心とした海外作品を手がけていて、原作を1話から完結まですべて読み込み、選定しています。縦読みコミックはウェブのように上から読む形状なので、若い世代に受けが良く、さらに北米を含む海外の方が見やすいためグローバル展開しやすいのが大きなメリット。また規制の厳しい日本の出版業界と比べ、韓国作品は二次展開しやすく、アニメ化やゲーム・映像化など様々な可能性を秘めているのも魅力です。
もう一つは、ゼロからオリジナル作品を作るパターン。企画段階から作品に関わり、コンテンツの選定、制作、条件交渉、作画の手配まですべて行います。直近では、オリジナル作品『異世界シングルパパ』の北米配信をスタートしました。アニメ制作スタジオと一緒に制作した作品で、ストーリーもアニメに近い要素で作っています。制作過程では、よりストーリーと絵がフィットするような作画作家に依頼するなど、時間をかけて進めてきました。とても愛着のある作品で、将来的にはアニメ化を目指しています。

——コンテンツ選定の基準とは?
Gil: 大前提としてあるのが、“プロデューサーとして面白いと思えるか”ということ。感覚的ではありますが、一番大切なポイントでもあります。私自身もともと日本のアニメが大好きで、アニメーターを目指して来日しました。アニメのコンテンツ事業に携わりたいという想いをずっと持ち続けていて、今本当に好きなことができていると実感しています。だからこそ楽しく仕事がしたいし、やはり面白い作品を手がけたいですよね。
同時に、どうしたらその作品が売れるか、リリース後の展開も見据えます。読者層と競合状況を見て、どの電子書籍、書店に卸すか考え、そこに合わせた作品をピックアップするようにしています。重要なのは、言語や文化の違いを越えて刺さる「普遍的な面白さ」を持つ作品を、各市場に合わせた形でローカライズし、最適な場所で届けること。たとえ電子書籍に向かなくても、紙なら相性が良さそうだということで、出版社に提案することもあります。また日本より海外で受けそうな作品をピックアップして、グローバルに配信するケースもあります。実際に、中東、台湾、ウクライナなど、各々の地域で需要がありそうなコンテンツを選び、作品ごとに配信しています。
——コミックコンテンツ市場での実績例をご紹介ください。
Gil: これまで手がけた作品の中には、国内外の主要プラットフォームでランキングトップを獲得した事例がいくつかあります。その一つが『堕落聖女に転生した私、3人の従者たちに抱かれて困ってます』。カラーリングや絵柄が縦読みコミックと相性がいいと考え、ピックアップしました。日本版にローカライズするとき、セリフをウェブ環境に合わせて全部横書きにしています。日本の漫画のセリフは従来縦書きですが、最近の若い世代は横書きを読むのに慣れていて、可読率も高い。ベースの韓国作品自体が横書きなので、吹き出しやコマの修正もなく、コストが削減できるというメリットもありました。

異業種とのコラボによりプロモーションを展開した作品もあります。プロレス漫画『コールセンター~はい、春原が承ります~』がその例で、女子プロレス団体に掛け合い、プロレス会場でプロモーションを行いました。縦読みコミックは読むだけで終わるケースが多く、いかに継続して接点を持ってもらうかが課題です。コラボで意識するのは、リアル接点のある場で体験価値を作ること。コラボにより作品に触れる機会を設け、ファン化、そして継続購読につながる導線をどう作るかを重視しています。

世界的IPとの協業にも力を入れ、今年は「Disney ツイステッドテール 〜もしもの物語〜」を国内初の縦読みデジタルコミックとして制作・配信をスタートしました。本シリーズは、小説シリーズ「ディズニー ツイステッドテール」を原作とし、ディズニー名作のどこかがゆがめられた“もしも”の物語を描いており、読者からも好評いただいております。
——「Rakuten Content Central」が目指すコミックコンテンツの未来について、Gilさん、そしてチームの思いをお聞かせください。

Gil: 記憶にずっと残る作品を作りたい。短期的な話題性より、完結後も長く愛される作品を作りたい、という思いが強くあります。
目指すのは、コンテンツを「消費」ではなく、読者にとって「終わらない体験」として残し続けること。そのためにもコミックに限定せず、アニメ・ゲーム・グッズなど、二次展開を強化したい。中でも重視しているのがアニメ化です。ドラマや映画化も魅力的ですが、長期的な展開を考えるとやはりアニメが最適だと考えています。特に日本では、一つのアニメが長期間にわたって放送されることが珍しくありません。また、漫画文化が根付いている日本とは異なり、海外ではアニメをきっかけに漫画を知る人が多いため、世界的に作品を広めるためにはアニメ化が不可欠だと考えています。
けれど我々だけでは無理で、作家さん、制作会社さんなど優秀なパートナーと信頼関係を構築し、作品が育ち続ける仕組みを作る必要がある。その上で、国や言語を越えて愛されるIPを生み出し、世界中の読者に届けられたらと思っています。
(注)Mordor Intelligence(モルドール・インテリジェンス)社「ウェブトゥーン市場分析」https://www.mordorintelligence.com/industry-reports/webtoons-market




