【Rakuten AIの裏側】幸﨑 えみ子が語る、AIによって再構築される保険業界

※本記事は、以下の「Rakuten.Today(英語版)」で掲載された記事を抄訳したものです。
https://rakuten.today/blog/inside-rakuten-ai-emiko-kosaki-shares-how-ai-is-reshaping-insurance.html

本シリーズでは、楽天のAI開発に携わる責任者や、「AIの民主化」を目指す楽天のビジョンを推進するキーパーソンに話を聞き、AIという革新的なテクノロジーにまつわる様々なトピックについて深く語っていただきます。過去のブログはこちらからご覧いただけます。

また、楽天グループのYouTubeチャンネルでは、「Rakuten AIの裏側シリーズ」として本記事を含むインタビュー動画を公開していますので、ぜひご視聴ください。

第6回目となる今回は、楽天インシュアランスホールディングス株式会社の執行役員である幸﨑 えみ子に話を聞きました。

―自己紹介をお願いします。

幸﨑:楽天インシュアランスホールディングス株式会社で執行役員を務めています、幸﨑 えみ子です。現在はマーケティング戦略企画とAI推進企画管理の両方を担当しています。

―担当している保険のサービスの内容について教えてください。

幸﨑: 楽天保険グループには楽天生命と楽天損保があります。それぞれ、損保であれば自動車保険やペット保険、自転車保険、ゴルファー保険、旅行保険と様々な種類があります。

楽天生命も同様で、生命保険や医療保険、がん保険など色々あります。そのすべての保険のマーケティングを私のチームでシームレスに行っています。


―その保険の中でAIはどのように活用されているのでしょうか?

幸﨑: 保険のビジネスには多くのプロセスがあります。私が担当しているマーケティングもそうですが、保険商品を開発する仕事もありますし、実際にお客様からのお問い合わせを受けたり、お客様が事故や病気になってしまった時に保険金請求を受けたりと、様々な仕事があります。各バリューチェーンの中にAIをいかにして組み込んでいけるのかについて、色々な仕事をしている人たちを巻き込んでご協力を得ながらAI活用を推進しています。

私が担当しているマーケティングの領域において、楽天には本当に多様なデータがあります。お客様の基本属性のデータももちろんそうですし、購買データ、ポイントの利用データ、会員情報のデータ、またお客様によっては車のメーカーや車種などのデータを活用しながらマーケティングを行っています。そこにさらにAIを組み合わせることで、その時に保険に加入しやすそうな方を予測して、適切なタイミングで適切な媒体からアプローチをするというデータマーケティングを実施しています。

―実際にAIを活用してどのような変化がありましたか?

幸﨑:通常の自動車保険のマーケティングは、大量にテレビCMを流して、まず知ってもらうところから始まります。最初はお客様のデータを持っていないので、興味を持ってもらったところから自動車保険について知ってもらうという、かなりお金と労力をかけたマーケティングになってしまいます。

対して私たちにはデータとAIがあるので、とても効率的なマーケティングができています。例えば、他社の半分ぐらいの顧客獲得コストで自動車保険の契約ができた、という話もありました。


―マーケティングの分野以外でのAI活用の事例はありますか?

幸﨑:保険の象徴的な例としては、お客様が事故を起こした時の対応があります。保険会社にとって一番大事なのは、お客様が事故に遭われてしまった時に迅速に保険金をお支払いすることです。

自動車事故といっても本当に様々な自動車事故があり、天候や時間、当事者の行動などによって異なるため、同じような事故は2つとないと思っています。

そういった際にお客様へお支払いする保険金額を決める時に「過失割合」といって、自分がその事故に対してどれだけの責任を負うのかを判定する役割があります。これは多くの専門知識が必要で、1件ずつの事故の状況を把握して分析し、過去の判例を見て過失割合を決めるという、非常に難しい仕事です。

場合によってはそれに時間が掛かり、お客様に保険金をお支払いするまでにお時間をいただいてしまうことがあります。

そこで、過去の過失割合の判例事例をAIにインプットし、全く異なる事故が起きた時に「この時はこのぐらいの過失割合だったので、今回はこのぐらいの割合でしょう」といった検討材料をAIが提案してくれる、というのが現在試みているものになります。

まだ研究段階ではありますが、この事例で大事なのは、難しいことをAIにやってもらうという点だけではなく、お客様のサービスの質やスピードが上がるという意味で、意義深い取り組み、チャレンジだと思っています。

―今後の計画やビジョンがあれば教えてください。

幸﨑: 自動車保険のエリアだけに絞って言うと、一般的に自動車保険のどの会社でも現状は同じようなデータを用いて保険料を決めています。具体的には、契約者の年齢やどんな車に乗っているか、その車がどれだけ古いかなど、少ないデータで保険料が決まるのがこれまで一般的でした。

私たちは楽天のデータがあることで、その人の事故の起こしやすさなどを予測分析できるようになっています。これまでの限られたデータで作る保険とはまた別の、よりパーソナライズされ、精緻化されたプライシングにもチャレンジできると考えています。


―最後に伝えたいことがあればお願いします。

幸﨑:AIやデータというと無機質なイメージや専門的なイメージを持たれがちですが、マーケターである私にとってAIは、お客様をより知るため、お客様の利便性を向上させるために必要不可欠なツールだと思っています。

お客様に愛されるような保険サービスを作るためにうまく活用していきたいというのが、AIとマーケティングの両方を担当している立場としての思いです。

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