楽天新春カンファレンス2023で三木谷が語った“モバイル”で成長する「楽天市場」

昨年に続いてリアルとオンラインのハイブリッド形式での開催となった、「楽天市場」の出店店舗さん向けイベント「楽天新春カンファレンス2023」。「楽天市場」における戦略を店舗さんに共有するとともに、店舗運営に役立つ学びや店舗さん同士の交流を深めていただく場として、年2回開催している大規模イベントです(7月は「楽天EXPO」として開催)。

本イベントのリアル会場は、約2,200名の店舗さんによって大きな賑わいを見せました。また、どこからでもご参加いただけるオンライン会場には3万名以上が集結し、チャット機能を利用して質問が投げかけられるなど、活発なやり取りが交わされました。

オープニングを飾った三木谷浩史による基調講演では、17年前に行われた楽天EXPOのテーマ「モバイル!! モバイル!! モバイル!!」から引用した本年のテーマを発表。「楽天モバイル」の成功こそが「楽天市場」の成長を導くとして、固い決意を示しました。

本記事では、基調講演の内容をダイジェスト版にてお届けします。

モバイル事業の成功が「楽天市場」の成長を加速させる

楽天グループは、昨年で創業25周年を迎えることができました。誰もインターネットではモノを買わなかった時代から25年経った今でも、インターネットショッピングで皆さんのビジネスを拡大し、日本全体を元気にしたいという想いに変わりはありません。

2006年のまだ“ガラケー”が主流だった時代の「楽天EXPO」では、当時ほぼゼロだった「楽天市場」におけるモバイル経由の流通総額について「将来的には70パーセントに達するでしょう」とお話しさせていただきました。そして今年のテーマは、「モバイル!!」をもう一つ増やして、「モバイル!! モバイル!! モバイル!! モバイル!!」 ということでございます。

お聞きの皆さんの中には、なぜ私たちがモバイルに注力するのかについて不思議に思う方もいらっしゃるでしょう。その答えは、「10兆円計画」の大きな柱の一つとなるからです。これは、「楽天エコシステム(経済圏)」内において国内EC流通総額10兆円を目指すという目標です。

「楽天市場」を中心として、トラベルやクレジットカード、銀行、証券など、70以上のサービスで構成される「楽天エコシステム」は、横断して利用できる「楽天ポイント」を軸に成長し続けています。そしてこの経済圏のさらなる拡大にはモバイル事業が最強の助っ人となるわけです。

その経済圏の中心にいらっしゃる店舗の皆さんにご協力を仰ぎたく、本日は「楽天市場」と「楽天モバイル」の密接な関係についてぜひご理解いただきたいと考えています。

「楽天市場」を中核とし、「楽天トラベル」や「楽天カード」、「楽天銀行」などの様々なサービスによって構成される「楽天エコシステム(経済圏)」。エコシステム拡大に大きく寄与する新たな柱として、「楽天モバイル」が据えられた。

実際に、2023年元日、「楽天市場」におけるモバイル端末経由の流通総額は89.3%に達し(※1)、ほぼモバイル経由での買い物になりつつあると言えます。また、「楽天モバイル」契約者による「楽天市場」での年間流通総額(2022年)は、1人当たり49%も増加しました(※2)。

大容量、低価格、高品質なサービスを目指す「楽天モバイル」への加入者が増えることで、「楽天市場」の利用者増加につながり、売り上げ増加などの相互作用が得られる。

(※1)2023年1月1日、「楽天市場」における流通額のうち、モバイル端末から利用された割合。モバイル端末は、モバイルフューチャーフォン、スマートフォン、タブレットを含む。

(※2)2022年1月から2022年12月の期間内に楽天モバイルの契約が存在し、契約開始月から12カ月以上が経過したユーザー(期間内に解約したユーザーも含む)が算出対象。流通総額の伸びは、契約開始月ごとに、ユーザーの契約前の12カ月と直近の12カ月(2022年1月~2022年12月 )の期間の流通総額を比較した数値の加重平均。

世界から注目の完全仮想化技術でリードする、5G時代のモバイル

また、世の中は高速大容量通信「5G」の普及に向けて動き出しています。家庭用ゲームや映画などのストリーミングサービスのコンテンツは大容量化の一途をたどり、あらゆる情報がリッチコンテンツに置き換わっていくでしょう。だからこそ、どれだけ使っても月額2,980円(税込3,278円)の「楽天モバイル」がますます求められていきます。

「楽天モバイル」ユーザーによる使用通信データ量は、他キャリア3社平均と比較して約2倍。高額な支払い料金を気にすることなく、リッチコンテンツを楽しむことができる。

他社を圧倒する低価格の料金プランだけでなく、大容量で高品質なサービスによってこれを提供できるのは、完全仮想化技術があるからです。通信ネットワークのインフラをエンドツーエンドで仮想化させることに成功し、当初より5Gを見据えて開発した「Open RAN」(※3)ベースの技術は、世界の有力メディアからも大きな注目を集め、栄誉ある賞を受賞しました。また、4G全国人口カバー率は現在98%に到達し、国内の顧客満足度調査においても様々な部門で1位を獲得するなど、高い評価を得ています。

そして、衛星ネットワークのサービス化への挑戦にもぜひご注目ください。山奥などの僻地、そして海の上でさえも、衛星から直接スマートフォンに電波が届くようになります。そんな未来の実現を、私たちの「スペースモバイル」プロジェクトによって目指しています。

(※3)Open RAN……モバイルネットワーク技術の一つ。無線の送受信装置などの各種機器の仕様をオープンにすることによって、異なるメーカーなどの製品を組み合わせて使用することができるため機器調達に自由度があり、ネットワークの構築コスト削減も可能に。また、オープンな規格に準拠しているため、安全性や透明性の高いRANの構築を実現できると考えられている。

「楽天ポイント」でサービス同士がつながり、エコシステムを拡大

様々なサービスによって構成されている世界でも類をみない独自のエコシステムは、楽天の大きな強みです。ですがこれまでは、「楽天カード」を持っていても「楽天市場」で買い物をしたことがない人や、「楽天トラベル」を利用していても「楽天銀行」を使っていない人などがたくさんいらっしゃいました。こうした課題においてもモバイル事業が効果的に作用することがわかっています。「楽天モバイル」に加入することで、エコシステム内のほかのサービスをまたがって利用するクロスユース率が上がることが明らかになっています(図 1)。

そして、異なるサービスの結び付きを強固なものにしているのは、日本で一番貯められていて使われている「楽天ポイント」です。サービスを横断して相互に利用できる利便性の高さによって、流通の拡大を促進しています。

(図1)「楽天エコシステム」内における複数のサービスを顧客が横断して利用するクロスユースの成長率を表したもの。「楽天モバイル」を契約することで、契約前に比べて2.58個のサービスを多く利用することが分かった。
「楽天エコシステム」内のサービスを結び付ける「楽天ポイント」。携帯電話料金をポイントで支払うことができるため、「楽天市場」の利用促進につながるなどの効果も期待できる。

モバイル事業の成功が、「楽天市場」を中核とするエコシステムの拡大に寄与することについて、その深い関わりをお話ししてきました。「楽天モバイル」では法人契約を新たに開始し、非常に安価な価格でサービスを提供します。皆さんの流通にも結び付いていくということですので、皆さんにもご加入いただければ大変ありがたく思っています。

この25年間は、振り返れば無謀な挑戦の繰り返しでした。ですが、皆さんと共に作り上げてきた「楽天市場」があるからこそ、挑戦を続けることができました。私たちは“One Rakuten”で、皆さんと頑張っていきたいと思っております。2023年も良い年にしましょう。

本日はどうもありがとうございました。

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