楽天の企業文化を育んできた仕組みとは

楽天には、創業から20年間にわたって受け継がれてきた行動規範がいくつもあります。それらが楽天のアントレプレナーシップ(起業家精神)を大切にする企業文化をつくり、高い志と一体感を育んできました。とくに象徴的なものが、「朝会」と「自席周辺の清掃」です。これらの起源や目的についてご紹介します。

朝会

楽天では、毎週火曜日の朝に、全社会議の「朝会」が開かれます。

朝会の始まりは、スタッフが数えるほどしかいなかった創業初期の頃、毎週土曜日の午前中に行われていた全体ミーティングです。業務の進捗報告をしたり、問題解決のために議論を深めたりするために設けられていたものでした。土曜日に集まったのは、各スタッフが顔を合わせてじっくり話し合う時間が当時、平日だと取れなかったためです。

約2,000人が入る「楽天クリムゾンハウス」の「朝会」会場
約2,000人が入る「楽天クリムゾンハウス」の「朝会」会場

ほどなくして、このミーティングは「朝会」と名を変え、月曜日の朝に行うことになりました。週の仕事始めに意識の統一が図れるからです。2010年4月からは、社内公用語英語化に向けて、すべての発表が英語で行われるようになりました。さらに、2011年からは開催日を、現在の火曜日の朝へと変更しました。グローバル化が進み、時差のある海外オフィスからの参加者が増えたことが理由です。

朝会では、各事業が設定した目標に対する進捗や成功事例が共有されるほか、全社横断で行われるマーケティング施策の紹介や結果報告、世界のテクノロジートレンドなども共有されます。また、スタッフと三木谷のQ&Aセッションもあり、最新のビジネス戦略や福利厚生に至るまで、様々な質問が飛び交います。

米国本社からビデオ会議で「朝会」に参加する三木谷。国内の地方オフィス、海外オフィスをシステムでつないで全社に中継される
米国本社からビデオ会議で「朝会」に参加する三木谷。国内の地方オフィス、海外オフィスをシステムでつないで全社に中継される

朝会は、全スタッフが同じ目標に気持ちを向けるとともに、日々改善すべきことを再認識するためのひとつの仕組みとなっています。会社全体の動きを把握できるため、自分が携わる事業だけでなく、他事業の取り組みも理解し、自らの仕事にどう生かすかを見出すことに役立っています。

こうした徹底した情報共有は、グループ内で事業を越えて成功事例を「ヨコテン」(横展開)させることを促進することにもつながっています。また、全社戦略や各事業の進捗など経営レベルの話を全スタッフに共有することで、スタッフ一人ひとりの経営への参画意識を高めています。

自席周辺の清掃

朝会と同様に創業以来続けているのが、週に一度、全スタッフが行うデスク周りの清掃です。役職に関係なく(三木谷を含めた)全員が、自分の机やイスの脚まで、きれいに拭きます。

これは、たとえ清掃であっても誰かがやってくれるのが当たり前と思うのではなく、会社の仕事で自分に無関係なものはひとつもないという当事者意識を忘れないようにするためです。

楽天では、常に大きな目標を掲げ、その達成に向けてチーム一丸となって取り組みます。目標が大きければ大きいほど、目先の小さな仕事を軽く見てしまいがちですが、目の前の小さな仕事を一つひとつ着実に達成していかない限り、大きな目標を達成することはできません。

清掃は、それを定期的に再確認するための仕組みです。全員で同じ作業を行うことで、会社全体がチームであることを再確認する機会ともなっています。

楽天の企業文化

楽天が築きあげてきたユニークな企業文化は、他とは違うかもしれません。しかし、こうした企業文化が楽天の組織力を高め、持続的な成長の基盤となっています。楽天はこれからも、アントレプレナーシップを醸成するような企業文化を発展させながら、新しいイノベーションを生み出していきます。

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