AIで加速する楽天の挑戦:「Rakuten Optimism 2023」三木谷オープニングキーノート
4年ぶりに待望のリアル開催を迎えた、楽天グループ最大級の体験イベント「Rakuten Optimism 2023」。2023年8月2日(水)〜6日(日)の会期中、本イベント会場である「パシフィコ横浜」に約10.6万人もの方々に足をお運びいただき、大変な賑わいをみせました。
5日間におよぶ本イベントは、国内外における様々な業界リーダーが集結する「ビジネスカンファレンス」(初日から3日間開催)と、最新テクノロジーや楽天エコシステム(経済圏)を体験できるイベント「フューチャーフェスティバル」によって構成。
その幕開けを飾った三木谷 浩史のオープニングキーノートでは、「楽天モバイル」が楽天グループ全体の成長に大きく寄与し、社会への貢献につながることを表明したほか、インターネットやスマートフォン出現のインパクトを上回ると予想されるAI技術についても言及。会場前方のスクリーンには、AI技術によって三木谷の話す内容が即時に書き起こされ、同時に英語への翻訳も行われました。当日に速報記事でもお伝えしましたが、講演の終盤にはサプライズゲストとして米・OpenAI社のサム・アルトマンCEOがオンラインで出演。楽天との協業に向けた基本合意について発表すると、会場は大きなどよめきに包まれました。
本記事では、三木谷がオープニングキーノートで語った内容をダイジェスト版にてお届けします。
※講演の完全版は、本記事文末のリンク先よりアーカイブ動画にてご覧いただけます。視聴には登録(無料)が必要となります。
https://optimism.rakuten.co.jp/2023/registration/live/
“社会的使命”として。リスクをとって挑戦を続ける「楽天モバイル」
皆様もご存知の通り、楽天グループはモバイル事業に挑戦をしています。「やめておいた方がよかったのではないか?」という声もある中、なぜ大きなリスクを背負ってまでチャレンジし続けているかと言うと、世の中への貢献です。そして、この30年で大きく低迷した日本経済を回復させる大きなインパクトを生む可能性があると信じているからです。
スマートフォンはもはや単なる通話機器ではありません。言うなれば「社会的人権」です。ですから、料金を気にすることなく、無制限で、高品質なネットワークを、日本のすべての人に届けていくことには大きな意義があると思っています。そうした想いから、本年6月には、(パートナー回線を含め)どれだけ使っても月々2,980円(税込3,278円)(※注)の「Rakuten 最強プラン」(図1)を発表しました。現在、様々な要因によってインフレが加速していますが、日本の携帯電話料金は下がっています。これは、「楽天モバイル」が参入し、競争を引き起こしたことも要因にあると思います(図2)。
(※注) 通話料等別。公平なサービス提供または環境により速度低下する場合あり。
「楽天モバイル」が目指すのは、「携帯市場の民主化」です。モバイル分析企業「Opensignal」の調査では、通信速度において、4Gは他社と引けを取りませんし、5Gについては他社より速いネットワークを提供できているという結果がでています(図3)。解約率も下がり、顧客満足度は向上しています。
また本日、「Rakuten Linkデスクトップ版(ベータ版)」をリリースしました(図4)。スマートフォンからだけではなく、皆様のパソコンからも、無料通話や無料ショートメッセージの送受信が可能になります。
最先端技術を活用した「楽天モバイル」で実現する、楽天グループの未来
1997年、「楽天市場」を開設しました。最初の月の取扱高はたったの30万円でした。それが2022年には、(楽天グループ全体として)グローバル流通総額は34兆円、その年平均成長率(2000年~20022年)は39.2パーセントを達成しています(図5)。
成長を続ける私たちのビジネスモデルは、「楽天」という統一ブランドで行うことによって確立されています。そしてこれからは、「楽天モバイル」をその中心に加えようとしているのです。「楽天モバイル」をご契約いただくことで、楽天のサービス利用数は年間平均2.58個増加し、「楽天市場」の流通総額においては53パーセント増加しています(図6)。このように、「楽天モバイル」が楽天グループ全体の成長に大きく寄与しているのだとご理解いただけると思います。
また「楽天モバイル」は、技術的にも飛躍的な革新を成し遂げました。従来のモバイルネットワーク構成は、RANの通信機器とソフトウェアが同一ベンダーのもので構成されているため、一度特定ベンダーの専用機器とソフトウェアを導入すると、「ベンダーロックイン」状態に陥り、価格競争も進みづらく、ネットワーク構築に高いコストがかかるという課題がありました。しかし、「楽天モバイル」では、このハードウェアとソフトウェアを分離することに成功し、仮想化レイヤーを入れることで、低価格の汎用サーバーでも、クラウド上でソフトウェアを動かすことができるようになりました。これにより、設備投資や運用コストを抑えることができ、低廉なサービス提供につながり、お客様に還元しています。
これから数年以内に、災害時でもスマホで直接衛星から通信できる未来の実現も目指しています。また、ドイツでこの技術を使用した携帯キャリアのスタートに向けて準備しています。加えて、カナダや中東、アフリカ、そして現在戦火によってインフラ損壊が起きているウクライナにおいても、この技術を活用したネットワークを作ろうとしています(図7)。これは人類に貢献する大きなプロジェクトだと考えています。
米OpenAI社と強力タッグを発表。日本の社会をAIの力でエンパワーメントする
さて、本日はたいへん大きな発表があります。楽天はOpenAI社と協業して、新しい体験ができる様々な機能を開発していきます。スペシャルゲストとして、OpenAI社のサム・アルトマンCEOにご参加いただきます。
〈 以下、オンラインでの通話から抜粋 〉
三木谷: サムさん、こんにちは。私たちはAI技術を活用したサービス開発の協業において、基本合意に向けた署名をする段階ですね。
サム: はい。私たちがこの業界で一緒にできることはたくさんあると思いますし、すごく楽しみにしています。
三木谷: 楽天グループが所有している、世界に類を見ない様々な幅広いサービスのビッグデータ(図8)を活用することで、たくさんのことが実現できると思います。大事なことは、OpenAIの生成AI技術を楽天だけが享受することなく、皆さんと一緒に新しい世界を作っていくということだと思っています。
サム: そうですね。世界におけるダイナミズムを一緒に作っていけると思っています。
三木谷: 楽天の社会的ミッションは「イノベーションを通じて、人々と社会をエンパワーメントする」ことです。社会や環境に対して貢献しようとするこの姿勢は、あなたがしようとしていることとまったく同じだと思っているのですが、いかがでしょうか。
サム: まさにその通りです。私たちは変わっていく環境の中で、できることをやっていこうと思っています。
三木谷: 本日は、ありがとうございました。
〈 通話終了 〉
楽天グループは、まもなくOpenAI社と基本合意を締結します。楽天のAIにOpenAIのプラグインをつなげ、皆様の業務効率や、ユーザーエクスペリエンスをアップさせるという大胆な目標を掲げて取り組んでいきます(図9)。
AIとは、使い方を誤れば大企業だけが利益を得て、小規模事業者はどんどん追い込まれてしまう危険性を孕んでいます。ですから、楽天は自社のネットワークを使って、皆様が使いやすいかたちでAIを利用できる未来を実現し、日本社会全体をAIの力でエンパワーメントしていきたいと思っています。AIに接続するのは、基本的にはワイヤレスのモバイルネットワークですから、それも気にせず安く使えるようにすることも実現していきたいと思っています。
楽天グループは、新しいチャレンジ、大きなチャレンジ、大きな社会貢献を目指して、皆さんと一緒に頑張っていきたいと思っていますので、今後ともよろしくお願いします。
また、コーポレートサイトでは、会場の模様をご紹介する動画も掲載しております!こちらのページよりぜひチェックしてみてください!