高校生がリサーチ、インタビュー、プレゼンまで!英語で職業体験を行う「英語でジョブチャレンジ2024」

2024年夏、都立高校の生徒を対象にした「英語でジョブチャレンジ2024」が東京都教育委員会主催で実施されました。本プログラムは、都立高校の生徒が職業体験を通じて、実践的な英語を身に付けるとともに、キャリアプランについて考えるきっかけを与え、世界を視野にいれた活躍をするための意識向上を目的にした職業体験プログラムです。

協賛企業および協賛機関は、駐日外国公館をはじめ、大手出版社や建設会社、著名な宿泊施設など様々で、楽天でも5人の生徒の受け入れに協力しています。都内の21企業などが参加し、約140名の生徒がそれぞれの受け入れ先を訪問。

彼らは、楽天から与えられたテーマに基づいた課題と向き合って、リサーチ、従業員へのインタビュー、プレゼンテーションに至るまでを英語で挑戦しました。

本記事では、8月下旬の二日間、東京・二子玉川の楽天クリムゾンハウス(楽天グループ本社)で行われた「英語でジョブチャレンジ2024」の様子をご紹介します。


高校生らが英語で職業体験! リサーチ、インタビュー、プレゼンまで

「この二日間で、英語のスキルアップはもちろん、高度なトピックについて学びましたね」。CWO(Chief Well-Being Officer)の小林正忠は、楽天クリムゾンハウス(本社)での職業体験を終えた高校生たちにこう語りかけます。それを聞いた5名の生徒たちの顔は、とても誇らしげに見えました。

本プロジェクトにおいて、楽天では、企業文化の推進を担当する部署「コーポレートカルチャーディビジョン(以下、CCD)」にて、5名の生徒を迎え入れました。生徒を三つのチーム(A、B、C)に分け、メンター(Mentor、相談者)役となる英語力と指導力に長けた3人の従業員が、それぞれのチームに付き添います。

生徒らが課題に取り組むにあたってCCDが設定した大テーマは、同部署の活動と関係が非常に深い「ウェルビーイング」です。中テーマは、それぞれのチームごとにメンターが異なるものを設定しました。そこから生徒自身でより具体性のある小テーマを決めて一日目は終了。各自宿題としてリサーチなどが課せられました。
二日目は、リサーチ結果を基にして従業員にインタビューする時間が設けられ、リサーチ内容のまとめやテーマに対する自分たちなりの答えなどをまとめたプレゼンテーションをし、プロジェクトは終了です。

例えばチームAにおける中テーマは、「ダイバーシティにおけるInclusion(包括)とExclusion(排除)」です。メンバーのミユさんとリンゴさんは議論を重ねた結果、プレゼンテーションでは「電車の中で泣く赤ちゃんとその保護者に対する周りの視線や反応」という具体的な例を挙げ、「無意識であれ他者を排除しないためには、他人の価値観や背景に対して関心を持ち、積極的にコミュニケーションを取ることが重要」と結論付けました。質疑応答時間に「なぜ多様性が重要なのか?」との問いが投げかけられた際には、「様々な背景や文化を持つ人たちの価値観を理解することで、世界はより包括的で豊かなものになるからだと考えます」と答えると、聴衆者からは大きな拍手が送られました。

続くチームB(ヒナさん、ショウマさん)の中テーマは、「個人と組織の幸福における『メンタルヘルスへの多様性』の役割」、そしてチームC(コノンさん)は、「楽天が取り組んでいるサステナビリティ課題について学ぶ」ことが中テーマでした。

生徒の皆さんは大人たちの視線に緊張しつつも、しっかりと課題をまとめあげ、自分たちの意見を英語で発表。その堂々たる姿に、メンターをはじめとする従業員は皆、心から感嘆した様子でした。


「楽天ってどんな会社?」:生徒の目に映った一人ひとりの姿

コノンさん、ミユさん、リンゴさん
ヒナさん、ショウマさん

この「英語でジョブチャレンジ」は、今年度初めて実施されたプロジェクトです。都立学校の生徒からの「都民提案制度」によって事業化された本プロジェクトは、都立高校の1~3年生が対象。英語力は「CEFR(セファール)」のB1レベル以上が推奨されており、これは英検2級に相当します。プログラムへの参加を希望する生徒は自身が訪問したい企業を選択し、可能な限り希望に沿ったマッチングが行われました。

今回、職業体験希望先として楽天を選択した5名の生徒に、なぜ楽天を選んだのかを尋ねると、ほとんどが「社内の公用語が英語だから」との答え。ショウマさんは、「誰もが知る大企業で職業体験できることは貴重な体験だから」、リンゴさんは、「日本最大のECサービスを展開する会社で、自分の関心領域である経営も学べると思ったから」と教えてくれました。

そんな皆さんですが、二日間のプログラムを終えて楽天への印象に変化はあったでしょうか。

「大企業の仕事は形式的で、従業員が黙々とパソコンに向かって仕事をしていると思っていた」と語る生徒たちは、その見方を大きく変えたようです。ショウマさんは、「従業員の皆さんと部署のリーダーとの距離がとても近く、とても柔軟な会社なんだと感じました」と述べたほか、コノンさんは、「従業員一人ひとりが同じ方向を向いて情熱を持って働いている姿がとても印象的でした」と、話してくれました。
また、ヒナさんは、「様々な国籍の人が働いている姿を目の当たりにして、大企業という大きなかたまりではなく、一人ひとりが見えるようになりました」と言います。

さらにミユさんは、「会社としての利益を追求するだけでなく、積極的に社会貢献に取り組んでいることを知って感銘を受けました」と、自身の関心ごとに寄せた発見があったようで、それぞれ“中の人”と触れ合う機会を通して楽天への理解を深めてくれたようです。

楽天が目指すダイバーシティ:言語でより理解が深まる多様な価値観

生徒たちが、普段学校で学んでいることを生かして、本プログラムを通じて「話す」ことに挑戦した「英語でジョブチャレンジ2024」。初めての職業体験に戸惑いつつも、英語でプロジェクトを全うした生徒たちに将来の夢について聞きました。

ショウマさんは、「英語をコミュニケーションツールとして、国内外で人と人をつなげるようなサービスを展開する仕事に携わってみたい」と話します。リンゴさんは、「世界の貧困問題を解決するためには英語が必須だと感じて勉強を始めましたが、今は経営にも興味があります。国際的な仕事を通じて、両方に関わる職に就いてみたい」と教えてくれました。

ヒナさんは、「人間科学や心理学を学びたいと思っているものの、幅広い分野に興味があるのでまだ悩んでいます。ただ何を選択するにせよ、英語を使った仕事に携わることができたらうれしい」と述べ、コノンさんは、「広報活動、マーケティング、イベント企画からなる三つの柱によって、世界を日本へ、日本を世界へと橋渡しすることができたら」と、己の決意を力強く語ります。

ミユさんは、「以前、ボランティア先の幼稚園で日本語が話せない子どもが孤立していた時、英語に自信がなかった私は何も行動できずとても後悔しました。その時の子どものように孤立する人が、世界から一人でも減るようにという想いで英語を学び始めたんです。これからも自分の正義を貫くために、英語を含む必要なことをすべて吸収したい」と熱いまなざしを向け、五つの若き才能たちはそれぞれの夢に抱いて未来に突き進みます。

彼らのプレゼンテーションを見届けたCWOの小林は、彼らの英語力を高く評価したうえで、楽天におけるダイバーシティの考え方を述べて本プロジェクトを締めくくりました。

「私は創業時から楽天にいますが、2010年に社内の公用語を英語化することについて発表してから、多様な価値に触れる機会がとても増えました。国籍や言語だけでなく、性自認などの性のあり方、身体能力が異なる人々が共に働いているからです。もし日本語しか話さない会社だったら、そうした日常はなかなか実現しなかったと思っています。言語を学ぶことは様々な価値観を知ることにもつながり、皆さんの人生をより豊かにしてくれるでしょう。この二日間本当におつかれさまでした。You’ve done a really good job!(皆さん、よくがんばりましたね!)」。

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