AIが物理インフラを動かす時代へ――Interop Tokyo 2026、楽天シンフォニーが描く未来

人工知能がテキスト生成の枠を越えて物理インフラの運用領域へと踏み込むとき、何が起こり得るのでしょうか。これは、Interop Tokyo 2026における議論の核心にあった問いです。

この1年間、世界のテクノロジー業界は、独立した生成AIアプリケーションによって席巻されてきました。こうしたツールは魅力的である一方、実際の業務を支えるインフラとは切り離された形で存在していることが多いのが現状です。

Interop Tokyo において楽天シンフォニーが示したのは、「次のフロンティアはAIがチャット画面の外へ踏み出す時代だ」というビジョン。高度な意思決定の支援にとどまらず、物理インフラへの展開やライフサイクル管理の自動化まで、AIが能動的に関与する世界を楽天シンフォニーは描いています。


世界水準の通信技術が、いよいよ日本市場へ

楽天シンフォニーは、楽天モバイルの先進的なネットワークを支えるソリューション群を、通信事業者を中心にグローバルで展開するために設立された企業です。OSS(運用支援システム)の領域でソリューションを提供し、世界中の通信事業者や企業がネットワークを近代化できるよう支援しています。日本市場への本格展開を担う専門組織として、楽天シンフォニーは2026年3月に楽天シンフォニー・ジャパンを本格始動しました。

日本における楽天シンフォニーの取り組みは、従来の通信分野だけでなく、通信以外の産業領域にも広がっています。楽天モバイルのネットワーク構築で培った知見は、現場で生まれるデータを即座に処理し、複雑な業務課題を解決するための基盤として、様々な産業で応用できるものです。こうしたアプローチは、AI活用を望みながらも従来型の硬直的なインフラに制約されている日本企業にとって、重要な突破口となり得ます。


物理インフラとデジタルインフラを一元化するプラットフォーム

今回のイベントのテーマ「Internet for AI, AI for Internet」に沿って楽天シンフォニーがInterop Tokyo で示したのは、クラウド、AI、オープンソース、そして自動化を活用する企業こそが次の時代を切り拓く、という明確なビジョンでした。

その実現には、断片化されたサイロ型の管理システムという壁を乗り越える必要があります。楽天モバイル株式会社 無線アクセスネットワーク部 RAN Automation課 ヴァイスマネージャーの Monta Vongsili(モンタ・ウォンシリ)はセミナーに登壇し、物理資産管理のソリューションとして「Rakuten Site Management」を紹介しました。

楽天モバイル株式会社 無線アクセスネットワーク部 RAN Automation課 ヴァイスマネージャー モンタ・ウォンシリ

楽天シンフォニーは単一の統合プラットフォームに計画・建設・運用・拡張を集約しています。通信タワー、データセンター、EV充電ネットワークなど、異なるセクターにまたがる資産管理を一元化し、業務の流動性を高める設計です。

「この設計は特定ベンダーへの依存を排除します。単一ベンダーに縛られることなく、完全に柔軟な対応が可能になります」

真の差別化要因は、プラットフォームへのAIのネイティブ統合にあります。ウォンシリが実演した「Field Force Manager」は、現場で撮影した写真をAIが解析し、施工状態を即座に検証するデジタル品質保証ツールです。

「写真を1枚撮るだけで、完成状態と一致しない箇所があればAIが数秒以内に検知します。プロアクティブなプロジェクト管理により、リスクがスケジュールに影響を与える前に特定し、それを軽減することができます」


VMとコンテナの垣根を超える。「Rakuten Cloud」の統合UI

物理インフラが拡大すれば、それを支えるデジタルアーキテクチャーも同等のスケールで進化しなければなりません。楽天シンフォニー株式会社 日本国内エンタープライズ営業担当の溝口 修は、ライブデモンストレーションを通じて、業界全体が抱える課題に正面から向き合いました。

「現在、VM(Virtual Machine)を利用する多くの企業でWindowsへの依存度が高く、LinuxやKubernetesへの移行はとてもハードルが高いと感じています。そこで当社は、UIから直接、可能な限り簡単に実装できる仕組みを構築しました」

楽天シンフォニー株式会社 日本国内エンタープライズ営業担当 溝口

「Rakuten Cloud」が実現するのは、VMとコンテナが同一の統合インターフェース上に並ぶ、シームレスな管理体験です。ユーザーは「これはコンテナか、VMか」を意識することなくストレージの割り当てや設定を行えます。溝口が強調するのはその規模感です。Kubernetesプロダクトが楽天モバイルのネットワークほど大規模な商用環境で実際に稼働している事例は世界的にも珍しく、この運用実績が「Rakuten Cloud」の強みです。

製造、物流、医療、小売、通信といった分野を問わず、既存の仮想化投資を無駄にすることなく、AIに最適化された環境を段階的に構築することができます。分散したエッジクラスターを管理する企業にとって、この統合的な可視性と制御機能は「あれば便利」なものではなく、大規模インフラを扱う上での必要条件だと溝口は強調します。


「AIが物理インフラを動かす」その先にある姿

では、AIが物理インフラを動かすとき、何が起きるのでしょうか。楽天シンフォニーが実証したのは、手作業によるボトルネックの解消、プロアクティブなリスク軽減、そして運用コストの大幅削減です。物理的な拠点がインテリジェントな自律最適化ネットワークへと変わっていきます。

The theme "Internet for AI, AI for Internet" drove discussion at Interop Tokyo 2026.
Interop Tokyo 2026のテーマは「Internet for AI, AI for Internet」

楽天シンフォニーが目指すのは、ツールの提供にとどまらず、インフラからアプリケーションまでを一体として支えることで、日本企業がAIの恩恵を最大化し、競争優位を再定義できるよう総合的に支援することです。

AI駆動型インフラの未来を先導する楽天シンフォニー。今、その挑戦が本格的に動き始めています。

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