MWC2022、楽天シンフォニーのクラウドネイティブモバイルネットワーク「Symworld™」等の発表を振り返る

世界最大の携帯関連見本市「MWC 2022(モバイルワールドコングレス2022)」が、2022年2月28日から3月3日までスペイン・バルセロナで開催され、世界中の通信事業者、ベンダーなどが集まり、各社の最新技術とサービスがお披露目されました。楽天シンフォニー(楽天が世界の通信事業者等向けにモバイル通信プラットフォームを販売してくために設立した会社)として、今回の「MWC 2022」で初めて参加してきた模様をご紹介します。

楽天シンフォニーのブースでは、楽天グループ代表取締役会長兼社長の三木谷と楽天シンフォニーCEOのタレック・アミンによる登壇をはじめ、4日間にわたりパネル展示、「Rakuten Symphony Telco Transformation Lab(通信を変革するラボ)」(注1)でのライブデモンストレーション、パートナーや顧客の方々とミーティングを行いました。また、米国の通信事業者AT&T Communications(以下「AT&T」)、米・クラウド技術企業ROBIN SYSTEMS, INC.(以下「Robin」)、シスコ、Nokia、中近東およびアフリカ地域を中心に通信サービスを提供するMTN Group Limited(以下「MTNグループ」)などと発表を行い、来場者の関心を集めました。

「Rakuten Symphony Telco Transformation Lab」は、演奏から始まりました

モバイル業界の変革:ライブデモとイベント

楽天シンフォニーは「Rakuten Symphony Telco Transformation Lab(通信を変革するラボ)」というセッションを主催し、世界最先端のモバイルネットワークを支える革新的なソフトウェアベースのプラットフォームである「SymworldTM」(注2)を初めてライブデモンストレーションで紹介しました。「SymworldTM」とは、導入事業者向けに提供される次世代のネットワークソフトウェアアプリケーション群です。事業者が直感的にかつワンタッチでアクセスできる特徴を持っており、構築するモバイルネットワークの近代化と自動化を実現します。

ライブデモンストレーションでは、三木谷とアミンを筆頭に役員陣が登壇。将来を見据えた通信業界の変革に関する講演の中で、三木谷は、「私たちの使命は通信業界を変革することであり、変革するためには少し違ったやり方をしなければなりません。」と語りました。また、アミンは「私たちが、世界中でこれまで見られなかった通信の接続や経済的コストを推進するネットワークを進化させていることは、楽天シンフォニーだけでなく通信業界全体にとっても素晴らしいことです」と話しました。

ライブデモを行う楽天シンフォニーのアンシュル・バット

楽天シンフォニーでインテリジェント オペレーション プロダクション戦略および技術関連のセールスを統括しているアンシュル・バットは、日本国内における楽天モバイルのネットワークを強化するソフトウェアに関するデモンストレーションを行いました。デモンストレーションでは、どのようにネットワークがリアルタイムで管理されているのかについて説明し、観客の方々も興味深く耳を傾けていました。バットは「私たちはすべてのモバイルサービスに関する管理を自動化し、最終的には自律型ネットワークを提供できるよう準備を進めています」と語りました。

Robinの完全子会社化や、 元FCC委員長アジット・パイ氏の社外取締役就任を発表

さらに、楽天シンフォニーはRobinの買収を発表しました。米国を拠点とするスタートアップ企業であるRobinは、クラウドネイティブ機能の展開やライフサイクル管理、オーケストレーション機能を提供しています。これまで楽天モバイルとRobinは2年以上にわたって協業しており、楽天モバイルはRobinの製品を活用して、世界初の完全仮想化クラウドネイティブモバイルネットワーク(注3)を展開しています。

Robinのみなさん

楽天シンフォニーとRobinが会場でレセプションを開催し、三木谷とアミン、そしてRobinのCEOであるパルタ・シータラ(Partha Seetala)氏が集まりました(注4)。

また、楽天シンフォニーは、元米連邦通信委員会(FCC)委員長のアジット・パイ(Ajit Pai)氏の社外取締役就任を発表しました。パイ氏はFCCに約10年間在籍し、FCC委員長在籍時は、次世代無線ネットワークとサービスにおけるイノベーションと投資の促進においてリーダーシップを発揮し、革新的な措置を講じた実績があります。

AT&T、シスコ、Nokia、MTNグループとの新しいコラボレーションも話題に

楽天シンフォニーは、AT&T、シスコ、Nokia、MTNグループ、各社との協業を次々に発表します。

まず、楽天シンフォニーとAT&Tは、両社が協力して「SymworldTM」のソリューションを強化し、既存および新規の通信事業者のネットワーク契約や展開の加速に向けて協業することを発表しました。

AT&Tのモビリティアクセス・アーキテクチャ担当副社長であるゴードン・マンスフィールド(Gordon Mansfield)氏は、「Rakuten Symphony Telco Transformation Lab」において、アミンと共に登壇し、楽天シンフォニーとの協業について意見交換をしました。

続いて、楽天シンフォニーとシスコは、Open RAN技術に基づいたクラウドネイティブな仮想化4G/5Gモバイルネットワークの提供を加速していくことを発表しました。楽天シンフォニーとシスコは両社の強みを掛け合わせ、クラウド時代における通信事業者の競争力をより効果的に向上させるソリューションを提供します。モバイル、ルーティング、スイッチング、自動化を含めたシスコの最先端ポートフォリオと楽天シンフォニーのOpen RANオーケストレーションと楽天シンフォニーの「SymworldTM」の全アプリケーション群がそのコンポーネントとして含まれる予定です。

それだけにとどまらず、楽天シンフォニーとNokiaは、Nokiaのクラウドネイティブなコアソフトウェアを楽天シンフォニーの「SymworldTM」マーケットプレイスに組み込むことを発表しました。「SymworldTM」マーケットプレイスは、通信アプリケーションの使用開始プロセスを簡素化するために開発されています。「SymworldTM」プラットフォームによって、稼働中の通信ネットワークにおけるソフトウェアの計画、展開、セキュリティ保護、およびモニタリングのためのすべての通信プロセスはデジタル化されます。「SymworldTM」マーケットプレイスのアプリケーションをワンクリックで展開することができます。

アミンはこの協業について「私たちはさらに多くのことを成し遂げたいと考えており、Nokiaと提携して、マーケットプレイス方式でNokiaの世界クラスのクラウドネイティブなコア製品を稼働中のネットワークに運用できることを非常に嬉しく思います」とコメントしています。

(写真左から)MTNグループエグゼクティブ兼ネットワーク計画および設計のアミット・マハラジ(Amith Maharaj)氏、楽天シンフォニーCEOタレック・アミン、楽天シンフォニー最高収益責任者(CRO)ラビー・ダブーシ(Rabih Dabboussi)

最後に4つ目の発表として、楽天シンフォニーと南アフリカのモバイルネットワーク事業者であるMTNグループは、南アフリカ、ナイジェリア、リベリアで4Gおよび5GのOpen RAN試験を実施するための覚書を締結したことを発表しました。

2022年内に開始を予定している試験では、アフリカ地域で最大規模の通信事業者の1社であるMTNグループの既存通信ネットワークシステムで、高度な自動化と自律型ネットワーク機能を備えた「SymworldTM」のOpen RAN技術を実証していきます。

楽天シンフォニー米国拠点でジェネラルマネージャーを務めるアジータ・アルバニ(写真中央)が、「MWC 2022」の「Cloud&Edge:A New Approach to Innovation」セッションで講演しました。

エッジ、セキュリティ、5Gをテーマに講演

楽天シンフォニーのCROであるラビー・ダブーシと楽天シンフォニー米国拠点でジェネラルマネージャーを務めるアジータ・アルバニ(Azita Arvani)は、4日間にわたる「MWC 2022」の主要なパネルディスカッションで講演者として登壇しました。

「MWC 2022」の主要なテーマの一つ「Open RAN」を題材にした、「Open RAN: A Vision of 5G & the Future of 6G (Open RAN:5Gのビジョンと6Gの未来)」のパネルディスカッションで、アルバニが、5Gおよび6G時代にOpen RANとソフトウェア中心のネットワークアーキテクチャが通信業界にもたらすものについて、楽天シンフォニーのビジョンを語りました。

また、ダブーシは「5G Security: Connecting us to a Secure Future (5Gセキュリティ:安全な未来へつなぐ)」というセッションにも登壇しました。このセッションで、ダブーシはセキュリティの専門家と、Open RAN技術に基づくモバイルネットワークのセキュリティについて対談形式で議論しました。その中で、「ネットワークセキュリティに関する議論は、未知のものへの恐れから生じています。しかし、我々は異なるアーキテクチャを採用し、攻撃対象領域を縮小し、最高の技術を適用して通信クラウドと無線インターフェイスを保護するために計算された対策を講じる必要があります」とダブーシは語っています。

「MWC 2022」の終盤ではアルバニが登壇し、「Cloud & Edge: A New Approach to Innovation(クラウドとエッジ:イノベーションへの新しいアプローチ)」に関するパネルディスカッションで技術の実現について掘り下げました。 アルバニは、エッジコンピューティングに重点を置いて日本国内で構築された楽天モバイルのネットワークの強みを強調し、通信環境におけるエッジの課題と利点について語りました。

パネリストは、エンターテインメントアプリを通信におけるエッジの推進力として強調しましたが、アルバニは、エッジがネットワークにとって重要であると述べ、次のようにコメントしました。「(楽天モバイルのネットワークにおける)最大のエッジアプリケーションの一つは、無線アクセスネットワーク(RAN)です。RANが構成したうえで、追加のアプリケーションを展開できるエッジを作成するのです」

楽天シンフォニーに関する情報は楽天シンフォニーのウェブサイト(英語のみ)でもご覧いただけます。

(注1)「Rakuten Symphony Telco Transformation Lab(通信を変革するラボ)」について詳しくは以下の「MWC 2022」ウェブサイトをご覧ください。
https://www.mwcbarcelona.com/agenda/session/rakuten-symphony-telco-transformation-lab(英語のみ)

(注2)「SymworldTM」について詳しくは以下のブログをご覧ください。
https://rakuten.today/blog/its-about-time-the-mobile-industry-met-symworld.html(英語のみ)

(注3) 大規模商用モバイルネットワークとして(2019年10月1日時点)/ステラアソシエ調べ

(注4)詳細については、以下のブログをご覧ください。
https://rakuten.today/blog/rakuten-symphony-to-acquire-cloud-technology-company-robin-io.html(英語のみ)

*Symworldはシンガポールおよびその他の国における楽天グループ株式会社またはその子会社の商標です。

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