三木谷が語る、AI超活用で共に目指す未来―「楽天新春カンファレンス2026」

「楽天市場」では、出店店舗様に向けて新春の恒例イベント「楽天新春カンファレンス」を開催しており、今後の戦略を共有するとともに、店舗同士の交流を深めていただく場を設けています。

オープニングの基調講演には三木谷 浩史が登壇し、「楽天市場」のさらなる発展に向けたAI活用の重要性や、「楽天モバイル」の成長による「楽天エコシステム(経済圏)」の拡大について説明。ゲスト登壇いただいた株式会社澤井珈琲 常務取締役 澤井 理憲様からは、「楽天モバイル」の「パートナー向け紹介プログラム」に関する取り組み事例をご紹介いただきました。

講演終盤には、会場でご参加いただいた店舗の皆様から三木谷への質問タイムが設けられました。店舗運営でのAI活用や意思決定の軸などについて活発な意見交換が行われ、会場は熱気に包まれました。

本記事では、基調講演の内容をダイジェスト版でお届けします。



AI超活用でさらなる成長を目指す

「楽天新春カンファレンス」にご来場いただき、ありがとうございます。1997年に「楽天市場」が始まり、ついに来年で30年になります。初月の売り上げは約30万円でしたが、今や流通総額6兆円を超えてまいりました。

今までも、これからもずっと大切にしていきたいのは、やはり「楽天市場」は店舗さんとの二人三脚だということ。店舗さんをエンパワーメントし、店舗さんと商品を買ってくださるお客様をつないでいく。これは、世界にほとんどない、日本の「楽天市場」型と言っていいビジネスモデルだと思います。

サービス開始当初の「楽天市場」は、月額出店料が一律5万円、商品数は25品でした。そこから様々な挑戦に取り組んでまいりました。最近では、最強翌日配送や、置き配、AIの導入など、日々進化を遂げてきています。29年前はまだ小さなサービスが、店舗の皆さんがいたおかげで、ここまで有機的に発展してこれたのかなと思います。
 
2024年からは、配送品質の向上に取り組んでまいりました。「楽天市場」のビジネスモデルでは店舗の皆さんが独立した存在なので、お客様目線では、統一した配送システムを担保することが一つのポイントでした。そこで、一昨年からこの配送の改善に力を入れることで、ふるさと納税の後押しもありましたが、流通総額6兆円を超えました。

さらに、より大きな目標を皆さんと一緒に目指し、流通総額10兆円を達成したいと考えています。十分に可能だと思っていますので、一緒にがんばりましょう。そのためには、やはりAIをどう活用していくかがポイントになります。

少し、国際的な視点も入れながらお話しできればと思います。10兆円とは、他の流通業界も含めて、国内流通の中で類を見ない規模になります。そこではやはり、AIをどう活用していくか、「AI超活用」が非常に重要です。例えば、AIを使っている会社と使っていない会社では、成長率は約1.7倍違うと言われています。「楽天市場」の店舗さんでも導入されている方がたくさんいらっしゃると思いますが、AIを使うことによって、生産性を倍増させていくことができると思っています。




自社開発「Rakuten AI」がさらに進化

AIも、マシンラーニング(機械学習)、ディープラーニング(深層学習)、生成AIへと発展してきました。そして、今はAIエージェントへと進化し、調べたり答えたりするだけではなく、実際に取引まで完了してくれるようになってきました。このAIエージェントは、特にバーチャルな世界では極めて重要になってきます。

また、AIエージェントの性能は7カ月ごとに倍増するといわれています。いわゆるコンピューターの世界でムーアの法則と呼ばれているものがあり、これは1.5年(約18カ月)で性能が倍向上するというものです。昔の何億円もするサーバー機器の計算能力が、今はもうスマートフォンで計算できます。そのくらい、半導体の性能は向上してきましたが、それを遥かに上回るスピードで、このAIエージェントの性能は向上しているということです。

当然、「楽天市場」には様々な規模の店舗さんがいらっしゃいます。店舗さんと歩んできた楽天としては、誰でも使える、誰からも愛される、誰にでも便利なAIをつくらなければということで、「Rakuten AI」の開発にものすごい力を入れて、社内のAIエンジニアが開発を進めています。楽天の従業員が業務で利用するものに加え、「楽天市場」の店舗さん向けの運営効率化AIツール、さらに一般ユーザー向けのAIエージェントもリリースしています。このAIエージェントに、「私のゴルフ成績に一番いいシャフトを推薦してください」と質問して、おすすめされた商品を買ってみたら、飛距離が15ヤードほどアップしました。本当に、新しいショッピング体験が実現しつつあると思います。


店舗の皆さんにぜひ使っていただきたいのは、楽天モバイルが提供する企業向けAIサービス「Rakuten AI for Business」です。これは、「楽天市場」だけではなく実店舗も運営をされている方には、実店舗のオペレーションや、様々な書類の整理、法務処理などにお使いただけます。


店舗運営システム「RMS(Rakuten Merchant Server)」に関しては、商品説明文や画像の作成、問い合わせ対応、データ分析など、AI活用によって単純に効率が上がるだけでなく、より内容が充実していきます。あくまでも皆さんがやっていることをAIが補完、または代替してくれると考えていただければと思います。


なぜ楽天グループでここまでAIが活用できるのか。これはやはり、データ統合ができたことだと思います。AIとは基本的に計算方法で、その原材料はデータです。データがいわゆる金脈であり、「データこそ新たな金なり」と考えています。

楽天のデータに世界は注目しています。それはなぜかと言いますと、楽天グループの国内月間アクティブユーザー数は約4,500万人(注1)で、楽天モバイルの契約数は1,000万超(注2)です。楽天エコシステムも多岐にわたっています。このデータをうまく活用することによって、様々なサービスをさらに充実させていきたいと考えています。




世界で最もAIを使うECプラットフォームへ

自社でAIを開発することにより、運用コストを大幅に削減し、高性能かつ低価格で提供できるようになる。これが楽天グループの考えているAI戦略です。ユーザーから見れば、「楽天に来れば、ほとんどのことが便利に解決してしまう」という状況を作っていきます。そして、「楽天市場」は、世界で最もAIを使うECプラットフォームへと進化していきます。


例えば「楽天市場」のAIコンシェルジュでは、商品を比較、購入決定するまでの時間が43%短縮され、素早く会話型で購入まで行き着けることで、お客様のストレスを軽減できます。さらに、平均購入金額も40%上昇しています。意味検索(セマンティック検索)では、曖昧な検索、キーワードや不完全なフレーズ、ニーズ、商品比較にも対応しています。また、楽天プロモーションプラットフォームと呼ばれる広告効率化ツールにも、AIを活用することで、広告効率が向上しています。


「楽天市場」アプリ内の「発見」タブでは、SNSのようなインターフェースで商品を紹介しています。無限にウィンドウショッピングのように商品を紹介していくプラットフォームが、このディスカバリーレコメンデーションです。



AI活用の有無が店舗の未来を変える

店舗さんにおいては、店舗さん向けの運営効率化AIツールである「RMS AIアシスタント」を使っている方がどんどん増えています。業務効率が上がったという方がとても多いです。「プチギフトmomo-fuku」さんは、問い合わせ対応時間を70%削減。「カーメイト 公式オンラインストア」さんは、商品画像の制作時間を91.1%削減しただけでなく、商品画像のクオリティを上げることができたそうです。

楽天のAIツールは、「楽天市場」の店舗運営がより効率的になり、よりクオリティが上がるよう特化して作っています。店舗の皆さんが使えば使うほど、学習して進化していきます。ぜひ使い倒してほしいです。「楽天市場」流通総額10兆円に向けた大きな施策の一つは、AIの活用だと思っています。


楽天エコシステムの成長を担う「楽天モバイル」

もう一つの施策が、楽天エコシステムの大きな成長要因ともなる「楽天モバイル」です。皆さんのご協力もありまして、2025年ついに1,000万回線(注2)を突破しました。特に若年層の加入率が高くなっています。

「楽天モバイル」がなぜ10兆円に向かうために必要か。皆さんにとって、いま最大の課題はやはり人手が足りないことだと思います。特に地方の企業さんにとっては、人手をどう確保するかは極めて重要なポイントです。そういった意味で、福利厚生として「楽天モバイル」を導入していただく企業様が増えています。メリットとしては、企業側は基本的に福利厚生費で費用計上でき、従業員は所得税や社会福祉料の別枠で使うことができるため、ご自宅のWi-Fi料金や携帯料金を大幅に削減できます。

「楽天モバイル」自体が、皆さんのビジネスにどのように貢献しているかですが、「楽天モバイル」のご契約者は、「楽天市場」でのご利用額が、従来比で約50%増加しています。「楽天市場」の一つの課題は、いかに若年層を取り込むかでした。「楽天市場」ユーザーに占める「楽天モバイル」若年層の比率は、すでに20代以下16%、30代18%、40代17%。つまり、「楽天モバイル」の成長が、マクロ的に「楽天市場」需要を上げていくということです。


「楽天モバイル」のもう一つの特徴は、無料通話アプリ「Rakuten Link」です。一般通話も「Rakuten Link」を使えば無料になり、ここから毎月約5,000万回、楽天のサービスへ送客しています。


また、「Rakuten Link」には「公式アカウント」機能があります。「松屋フーズ」様の事例では、「Rakuten Link」の公式アカウント経由で「松屋フーズ」に流入したユーザーのうち、約45%が新規顧客でした。



本日は、AIや、楽天エコシステムの拡大が「楽天市場」のサービス、そして、店舗さんの事業成長にどのような影響を与えるかについてお話しさせていただきました。世界がどのような方向に向かっていくのかわからない中、店舗さんとAIを使い倒して、筋力をアップしていくことが重要だと思っていますので、一緒にがんばっていきましょう。

本日はありがとうございました。



(注1)2025年9月30日時点 
(注2)1,000万回線は、2025年12月25日時点の、BCP(Business Continuity Plan用途に販売しているプラン)回線を含む、「Rakuten最強プラン」、「Rakuten最強U-NEXT」、「Rakuten最強プラン ビジネス」、「Rakuten Turbo」、MVNOおよびMVNEを合わせた契約数

もっと見る
Back to top button