1億以上の楽天IDとそれに基づく膨大なビッグデータ。それらを活用した楽天の広告ビジネスは、2021年の広告取扱高2000億円の目標を目指し拡大を続けています。現在、さらなる成長に向けてインターネット広告を効率的に運用するための根幹を支える「グローバルアドプラットフォーム」を開発しています。その開発トップであるニール・リッチャー (Neal Richter)と、シンガポールを拠点に開発を統括する執行役員の星野央司、日本でエンジニア組織を率いる吉田隆(テクノロジー部ジェネラルマネージャー)の3人に、楽天の広告ビジネスの今を聞きました。

 

「Rakuten Marketing Platform」とビッグデータ活用

――楽天のデジタルマーケティングに対するビジョンを教えていただけますでしょうか?

Neal:世界トップクラスの広告ビジネスを作ることです。楽天は世界でも類を見ないユニークで膨大なビッグデータを活用し、「Rakuten Marketing Platform(RMP)」という購買データに基づくマーケティングソリューションを提供しています。楽天グループはEコマースをはじめとしてフィンテック、デジタルコンテンツ、通信など、70以上のサービスを提供し、独自の『楽天エコシステム(経済圏)』を形成しています。国内において1億以上の楽天IDとそれに基づく消費行動分析データをはじめとしたビッグデータを活用し、広告ビジネスを展開しています。

「グロバールアドプラットフォーム」を統括するRakuten Marketing CTOニール・リッチャー (Neal Richter)

 

――ビッグデータはどのように広告ビジネスに活用されているのでしょうか?

Neal:楽天のビッグデータは、いくつかの点において際立った価値を持っています。ひとつは、それぞれのIDが有している属性データが非常に正確であることです。というのも、「楽天エコシステム」の様々なサービスを定期的に利用されるユーザー様が多くいらっしゃるため、絶えず最新の情報を蓄積することができるからです。

次に、精緻な情報に基づいているということです。そのため、オンラインからオフラインまで幅広く消費者の購買行動を分析することができるのです。このような特性を生かして、楽天は、認知、興味関心、購買、リピート、ファン化といった消費行動の各段階(=ファネル)に適した商品を取り揃えることにより、そのすべての段階=フルファネルでのマーケティングソリューションを「Rakuten Marketing Platform」として提供しています。

 

――フルファネルのマーケティングを実現することにはどのような意義があるのでしょうか?

Neal:マーケティングを取り巻く環境は日々変化し、企業は様々な課題を抱えています。消費行動の各段階におけるデータを蓄積することができるようになった一方で、実際にそれらを活用しようとするとそれぞれのデータの連携が難しく、分断されてしまっていることで、統合的なマーケティングが実現できていない企業が増えています。例えば、携帯電話から企業サイトなどで商品の情報を調べ、自宅のPCからECサイトで購入した場合、データ上では別々のユーザーと認識されてしまいます。

これに対して「Rakuten Marketing Platform」では、認知、興味関心、購買、リピート、ファン化という消費行動のプロセスを同一のIDとそれに基づく消費行動分析データを結びつけることで、「どんな人がどんなプロセスをたどって購買に至るか」の分析を可能にし、クライアント企業の購買に貢献する統合的なマーケティングを実現しているのです。

 

プラットフォームを支えるエンジニア組織

――楽天のエンジニア組織で実践されている「ワンチーム」というコンセプトについて教えてください。

楽天シンガポールオフィスの執行役員を務める星野央司(左)

星野:「ワンチーム」は、多様なメンバーがチームを一つの集合体として捉えることで、同じ方向に進めていくことができるようになるという考え方です。楽天のエンジニア組織は、国際的でダイバーシティに富んでいながら、統合された「ワンチーム」として協働しています。約半分が日本以外の国籍を持つエンジニアで、日本、シンガポール、インド、アメリカ、中国など、世界各国の拠点で活躍しているのです。

 

――各国にまたがっているエンジニア組織はどのような連携をとっているのでしょうか?

星野:楽天では常にいくつもの大規模開発プロジェクトを同時に進めています。プロジェクトの組成にあたっては、各国のエンジニアがそれぞれアサインされて、同じチームで働きます。もちろん、日本以外の国のエンジニアがプロジェクトマネージャーを務めることもありますが、社内公用語が英語であるため、様々な国のエンジニアがともに活躍することができています。その成功の鍵が「ワンチーム」です。異なる背景と役割を持つ仲間が互いに敬意を払って緊密に連携することで、初めてプロジェクトを成功させることができるのです。

 

楽天のエンジニアとして働く醍醐味

――楽天のエンジニア組織には、どのような活躍の場があるのでしょうか?

国内のエンジニア組織をまとめる吉田隆(テクノロジー部ジェネラルマネージャー)

吉田:「ワンチーム」は、何も国際的な一致のみを指すコンセプトではありません。多様な技術的・職業的背景を持つ仲間が協働することを意味しているのです。たとえば、今年の7月に「株式会社LOB」という広告プラットフォーム開発のスタートアップの買収を発表しましたが、これも専門的な知見と多様なバックグラウンドを持つエンジニアの獲得に力を入れている一例です。スペシャリストの方には、複数の分野で深い専門知識を発揮し、その分野の専門家として複数のチームや組織に貢献していただいています。またプロダクトマネージャーやプロジェクトマネージャーといった方は、一定の技術的理解をベースにそれぞれの深い知識を発揮することにより、サービスやプロダクトの責任者として様々なプロジェクトを管理しています。そしてジェネラルマネージャーの方には人や組織を管理する責任が与えられ、人的管理に主眼を置きつつ、成果物の納品まで管理する全般的な業務が任されます。

 

世界ナンバーワンの広告プラットフォームを目指して

Neil:楽天は、世界トップクラスの広告ビジネスを作るために、これからも投資を行い、最高の開発環境と挑戦のチャンスを提供していきます。しかし楽天の仕事の本質は、資金ではなく「人財」です。過去のプロジェクトを振り返ると、「ワンチーム」としての連携なくして、楽天の成功はあり得ませんでした。「ワンチーム」こそ、楽天最大の資産であり、強さの源泉です。

私たちは、ビジョンの実現に向けて、これからも世界各国・地域から集う才能溢れる仲間とともに前進を続けていきます。