楽天の社会貢献事業の一環として、社員の提案から始まった「Rakuten Social Accelerator(楽天ソーシャル・アクセラレーター)」プログラム。楽天のテクノロジーやビジネスアセットを使い、社会起業家と共に社会課題の解決に取り組むという本プログラムがスタートしたのは昨年3月。記念すべき第1期では社会起業家6団体と約80名の楽天有志社員たちが協働しました。

昨年7月より協働が開始、楽天社員たちは本業との両立の中で約5,390時間もの時を協働作業に費やしました。

思ったように進まない…など、苦しい時期を乗り越えながらも、改善点をアウトプットして一緒に成長してきた6カ月の協働期間。今年1月には、その集大成となる成果発表会「Rakuten Social Accelerator DEMO DAY」が開催されました。本レポートでは、前半3団体による発表の様子をお伝えします。


旅して出会う


楽天社員メンバーと「株式会社おてつたび」 代表取締役CEO 永岡 里菜氏(前列右から3番目)

約4年半働いていたベンチャー企業を辞めて、日本全国にある地域の魅力を伝えるために自ら事業を始めたという株式会社おてつたび 代表取締役CEO 永岡 里菜氏。当プログラムに事業構想が採択された2018年7月に株式会社として「おてつたび」を設立しています。

社名は「おてつだい」と「旅」という言葉が合わさってできた言葉。学生を中心に無料で過疎地などへの宿泊費、交通費無料の旅を提供し、その代わりに現地で農家や旅館などの地域のお仕事を手伝ってもらうというサービスを展開しています。「お手伝いを通じて地域の人と地域外の若者が出会い、地域のファン(=関係人口)を創出できる仕組みづくりを提供する」と永岡氏は説明します。

彼女の下に集まった楽天メンバー14名と共に、サービスの本格スタートまでの創業期6カ月を短期間で駆け抜けた「おてつたび」チーム。このチームが取り組んだことは半クローズド状態で運営していた1枚ページのHPを刷新し、「おてつたび」を1人前のサービスとして世の中に出すことでした。

プライバシーポリシーや利用規約、サービス紹介動画などサービスインに必要なツールをしっかりと作成。より多くの学生に興味を持ってもらうための説明会や、楽天と提携している市や町の地域活性課担当の方たちとの共同企画も行った結果、ウェブサイトはより魅力的にリニューアルされ、学生の登録者数も100倍近く増加しました。

(左)1枚ページの旧ホームページ画面 (右)現在のホームページ画面

「1年前は自分一人でした。HPのテストサイトを自分でつくり、広告も自分で手探りでした。しかし、今は気づいたら仲間が増えていました」と6カ月を振り返る永岡氏。発表の後、ステージ上で楽天社員メンバー全員に名刺を手渡し、ここにいる全員が創業メンバーだと思い、これからも関係を続けて行きたいと最後に熱いメッセージを贈りました。



地域が子どもたちを育む

「特定非営利活動法人 放課後NPOアフタースクール」チームメンバーと団体事務局側代表である栗林 真由美氏(右から3番目)

「小学生が一年間に放課後で過ごす時間はどれくらいかわかりますか?」

その答えは、年間およそ1,600時間。そうプレゼンの最初に紹介したのは「放課後NPOアフタースクール」事務局に所属する栗林 真由美氏。子どもたちが自由に過ごしているイメージの放課後の時間、実は子どもたちが孤独な時間を過ごすことが多く、犯罪被害件数の多い時間帯でもあると説明しました。

栗林氏は、そんな時間を「子どもたちが伸びやかに成長できる自由なゴールデンタイムにしたい」という想いから、企業や地域住民という“市民先生”を巻き込み、子どもたちに多様な体験を提供するプログラムのモデルづくりをしています。そのようなプログラムを通して、子どもたちの挑戦意欲や自己肯定感の向上という成果が生まれているそうです。

そして、楽天社員たちとの協働プロジェクトのテーマに掲げられたのが、昨年から栗林氏が発起人となり立ち上げた「放課後STEAMラボ」。

「勉強のカリキュラムではなく、テクノロジーなどを遊びの道具として身近に感じられ、失敗しても安心して挑戦できる試行錯誤が何度でもできる場。その第1号モデルを楽天と一緒に作ってきた」と栗林氏は強調しました。

チームが計画したのは、当ラボに継続的に企業が参加するには何が必要かを考え、都内の小学校のアフタースクールをモデルケースとして検証する実証試験。楽天社内の同好会である「楽天ロボットクラブ」の協力を得て、プログラミングソフト「Scratch」を使いカメラ付きのカーロボットでダンボールの迷路の中に隠れたキーワードを探すというゲームを制作。子どもたちに「放課後STEAMラボ」に興味を持ってもらうきっかけを作り上げる場を提供しました。


さらに、企業と子どもが協働するにはどんな環境が良いかを考え、継続的な企業参加のプロボノの型づくりや、企業側がこのような企画にどのように参加するべきかを検討。「STEAMでつながるナイト」と称した交流会を企画し、他企業を交えた集合知による社会課題解決を考える会を開催しました。

「子どもたちの興味は予測することが不可能だと学びました。広がる子どもの興味に対して、一企業がやることを用意しておくのは困難だと気づきました。テクノロジーを通して、楽しく学び、発想を自由にチャレンジし続けることを大事にしながら大人も子どもも真剣に取り組む。大人が子どもに真剣な姿を見せ、大人が楽しければ、子どもたちも楽しくなります」と楽天社員メンバーを代表した松井は感想を述べました。


花を育て、障がい者の働き方を支える

「特定非営利活動法人AlonAlon(アロンアロン)」理事長である那部 智史氏(前列右から3番目)とRakuten Social Acceleratorチームメンバーたち

障がい者の就労を支援する。その方法として、「AlonAlon」理事長である那部 智史氏は祝い花の胡蝶蘭の栽培と販売に注目し、事業を立ち上げました。

主要事業は「バタフライサポーター」と呼ばれる苗のオーナー事業、花の法人営業、胡蝶蘭の貸農園事業。現在、運営メンバーと9名の知的障害を持った労働者たちにより、約200坪の温室で年間1万本胡蝶蘭を栽培し、全国に配送しています。

Rakuten Social Acceleratorチームからは10名のメンバーが那部氏の下に集まり、楽天の持つテクノロジーとアセットを使って「AlonAlon」事業のマーケティングとブランディングの支援活動を行いました。

楽天側メンバーを代表して登壇した早川は、ウェブサイトのSEM改善、広告運用の導入、バタフライサポーターページの改善に注力したことを紹介し、取り組みの焦点として「これまでの『バタフライサポーター』のウェブサイトページはテキストが多く、理解しづらいページ内容だったため、デザインをシンプルでやさしい雰囲気にすることで、初心者の方に親しみやすくしました」と説明しました。

さらに、より多くの人に購入いただけるように、「楽天市場」に「AlonAlon」楽天市場店を開設。事業に対するファンを増やすために、楽天社内報であるRNN(Rakuten News Network)の協力を得て作成したPR動画(ページ内下部にある動画)を紹介しました。蘭を作る人、貰う人のストーリーが動画に構成され、チームメンバーたちが自ら出演しています!

協働期間中には、胡蝶蘭や寄付金などの売上は150%増加。「バタフライサポーター」サイトのPV数も上がり、貸農園における労働者2名の就職が決定したという成果が報告されました。


改善された胡蝶蘭販売と寄付金を紹介するHPの一部


プレゼンの最後、那部氏は「楽天との協働を経て、テクノロジーを活用すればいろいろなことが改善できることに驚きました。大儲けする事業ではなく、100年続く事業をやっていきたいです」と協働の成果と今後の目標を語りました。


楽天CMOによる総括

楽天常務執行役員CMO (Chief Marketing Officer)である河野 奈保は、「私も今まで自分の想いを形にする際には、一人ではなく他人との化学反応を起こして前進してまいりました。社会起業家の皆様と楽天社員が、日々の業務を越えて、このようなプログラムに取り組むことを嬉しく思います。社会課題を発見し、きちんとビジネスモデルを築き、解決しようとする情熱に感銘を受けました」と自らの経験を振り返りながら前半発表の感想を述べました。

第2期となる次回のRakuten Social Acceleratorプログラムは以下ページにて、募集要項を掲載しています。ご興味ある方は、是非ご応募ください!

https://corp.rakuten.co.jp/sustainability/social-accelerator/

<他3団体のレポートは「後編」につづきます>