【地域創生なヒトビト】地域の活性化を担う、データマーケティングの伝道師
1997年の創業時より楽天が心を傾けてきた“地域社会への貢献”。2013年には「地域創生事業」として事業部を創設し、「楽天市場」や「楽天ふるさと納税」をはじめとする楽天の70以上のサービスとマーケティング、データ活用の知見を活かして、自治体や地域の事業者の皆様と手を携えて地域課題の解決に尽力してきました。
そんな楽天の地域創生事業を支える人にスポットを当てるインタビュー企画「地域創生なヒトビト」。前職での経験を活かして楽天で活躍する人材に注目して、3人の従業員に話を聞きます。
Eijiさんに続く2人目は、“地域の活性化を担うデータマーケティングの伝道師”のMasashiさん。前職の大手情報サービス企業ではデータを活用した広告制作に携わり、現在は楽天のデータ活用コンサルタントとして従事。自ら考案した自治体職員向けワークショップを通じて地域の活性化に貢献しています。
“世の中を良くしたい”という想いから日々の生活に関わるサービスに携わるべく、楽天への転職を決めたというMasashiさん。現在の活動、そのやりがいについて、Rakuten.Todayの取材チームがオンラインで話を聞きました。
来たる“情報爆発の時代”を見据えて、大手情報サービス企業に入社
——Masashiさんのご所属、業務内容を教えてください。
Masashi: 楽天グループ株式会社において、データ・AI活用を社内外に広げるためのコンサルティングやソリューション提供、ならびにデータ分析支援を行う部門に所属しています。その一部門であるコマース&マーケティングコンサルティング課 地域データコンサルティンググループのマネージャーとして、データサイエンティストと各事業をつなぐ任務に携わってきました。
また、兼務として地域創生事業 共創事業推進部にも所属し、地域創生事業のデータ分析やソリューション開発、データ活用のコンサルティングを行っています。
—— 楽天へは2014年に中途入社されていますが、それまでのご経歴についても教えていただけますか。
Masashi: 大学では教育社会学を専攻していました。世の中を良くしたいという想いがあり、社会インフラとしての教育にずっと関心を抱いていたんです。教育社会学とは、社会調査によるデータなどを用いて社会と教育の関係を明らかにする学問ですが、学ぶうちにデータ活用そのものにも興味が湧くようになりました。
—— 社会に尽力したい気持ちはそのままに、データの活用にも新たにご興味を持たれたわけですね。
Masashi: そうですね。大学在学時の2000年代前半はインターネットが急速に普及し始めた時代。 ADSLなどのブロードバンド回線が広がりを見せたり、ブログサービスがはじまったりとインターネット産業が盛り上がっていました。ウェブサイトもサービスも日々増えていく中で、人々が目にする情報がどんどん増えていく「情報爆発」の時代が来ることは明白でした。
ですから、人々が必要とする情報に上手に出会える支援をしたいと思い、卒業後は大手情報サービス企業に入社して、同社発行の情報誌に掲載する広告の企画や制作に携わったんです。そこでの11年間は、データも活用しながら、どうしたら人に良い選択を促せるか、を考える日々でしたね。
ただ、僕が携わっていた広告は、結婚式場や新築マンションを紹介するような、特別な日にまつわるものが中心でした。やりがいも大きかったのですが、自分が心の底から関わりたいことはそうした特別な“ハレ”の日をより良くすることよりも、毎日の“ケ”の方を便利にすることなんじゃないか、と気がついたんです。また、当時の仕事ではそこまでデータを中心には使っていなかったのですが、データサイエンティストといった職種が注目を集め始めていたこともあり、もっと「データ」を生かす仕事がしたい、と考えることも多くなりました。
—— それで転職を考えたのですね。どうして楽天を選ばれたのでしょうか。
Masashi: 最初から興味があったわけじゃなかったのですが、ウェブサイトなどのデザイン業務と、データ分析を接続する役員直下の仕事があると知って、関心が向くようになりました。考えてみれば、「楽天市場」や「楽天カード」など、楽天は毎日の生活において使用頻度の高いサービスを数多く展開しているし、それらに携わることはすなわち日々の暮らしを良くすることに違いないと思い至って、入社を決めたんです。
楽天へ入社: データを活用したワークショップを立案して地域創生に尽力
—— 楽天におけるMasashiさんの現在の業務内容のうち、地域創生にまつわる部分について教えてください。
Masashi: 70を超える楽天グループサービスとデータ活用の知見を活かして、地域の課題解決に向けた地域DXの推進・支援を行っています。施策の内容としては、ワークショップ「RakuDemy」(ラクデミー)の実施、分析ツール「RakuDash」(ラクダッシュ)の活用、個別の案件ごとのコンサルティングからなる三つの取り組みが基本となります。
—— 「RakuDash」や「RakuDemy」とは、どんなサービスですか。
Masashi: 「RakuDemy」とは、事業の立ち上げやマーケティングの企画などを体験しながら学ぶ自治体職員向けのワークショップです。今年度は9自治体から約200名に参加していただきました。そのワークショップ内でも使用している「RakuDash」は、楽天のマーケティングデータ(注)を含む、複雑なデータをわかりやすくひとまとめに表示するための便利なツールです。
これらワークショップの実施やツールの活用によって自治体職員をエンパワーメントし、地元産品の販売促進や来訪客の増加、ふるさと納税の寄付額増加などを目指します。
(注)個人や取引先含む第三者が特定されない形で、楽天グループのサービス利用履歴などを統計的に加工したデータ
—— 実際に手がけたワークショップについて、具体例な事例を教えていただけますか。
Masashi: 富山県では、来訪客の増加を目的にしたワークショップを実施しました。データ分析をして結果を整理し、目標達成のための方法を学びながら、ペルソナを設定してテストキャンペーンを実施する試みです。富山県からは県職員、楽天からはデータサイエンティストとコンサルタントが参加しました。
別の自治体においては、こうした来訪客を増やす取り組みはもちろんのこと、観光の来訪客をどのように地元産品の購入につなげていけばよいかといった、課題への施策を考えることも多いですね。観光と物産のように領域を横断した施策は、サービスを多数展開する楽天ならではの特徴だと思います。
—— ちなみに「RakuDemy」は、22年7月に提供をスタートしたばかりの新しい支援事業ですね。
Masashi: そうですね。ただ、前身となる取り組みは19年末からスタートしています。
はじまりは、ある地域の地域創生事業のためにペルソナを用意して欲しいという楽天社内からの依頼でした。ただただペルソナを提供すればよかったのですが、自治体と一緒に考えるワークショップにしてみてはどうかと思い立って、こちらから逆に提案してみたんです。その後、実際に開催したワークショップには僕も参加したのですが、自治体の皆さんがご自身でペルソナを設定したことによって人物像にリアリティが増し、課題解決に向けたアイデアが活発に交わされている様子を見て大きな手応えを感じました。その試みが、現在の「RakuDemy」につながっています。
データを扱う難しさの中で導き出す、自治体の課題解決に向けた糸口
—— データを利活用するワークショップを軸にして地域創生事業に関わられているMasashiさんですが、やりがいを感じる時はどんな時でしょうか。
Masashi: 「RakuDemy」によって自治体の皆さんがペルソナを立てる時に「サービス提供先の人物像が詳細にイメージできたことで、マーケティングのイメージがより具体的にできました」とか、「普段の業務でも同じように市民の皆様の人物像を考えることがより良い市政につながると思えた」と言ってくださった時は、めちゃくちゃ嬉しいしやりがいを感じますね。
—— 楽天のマーケティングデータではなぜそれが可能なのでしょうか。
Masashi: 楽天が展開する複数のサービスが単一のユーザーIDに紐づけられていることによって、ユーザー理解の解像度を格段に上げていることは間違いありません。しかもこれだけの規模で展開していて、かつ相互にデータ活用できる仕組みが整いつつあるのは、世界的にみても楽天くらいだと思います。
もちろんお客様からお預かりしている大事なデータですので、扱いには制約も大きいです。それでも楽天のマーケティングデータは、自治体の意思決定に寄与しうる力強いデータであることに変わりはないかと思いますので、楽天としても取り扱いには十分留意しながら、ぜひ最大限に活用していただけたら嬉しいですね。
—— では最後に、Masashiさんの見据える地域創生の未来について教えてください。
Masashi: 楽天の各サービスが一つのユーザーIDで紐づけられているように、世の中全体が何かしらのIDに紐づけられていくのはもう間近。一市民としては、データの活用によって、日々の生活を便利にするサービスを自治体から提供して欲しいと思います。またデータ活用コンサルタントしては、そんな日に向けて自治体が市民を理解するための一助になりたいと願っています。楽天が蓄積するマーケティングデータを活用して地域創成事業に携わることは、世の中を良くすることにつながっていくと、いつも信じています。