【地域創生なヒトビト】県庁勤務の経験を活かし楽天で地域課題の解決に貢献する
1997年の創業時より楽天が心を傾けてきた“地域社会への貢献”。2013年には「地域創生事業」として事業部を創設し、「楽天市場」や「楽天ふるさと納税」をはじめとする楽天の70以上のサービスとマーケティング、データ活用の知見を活かして、自治体や地域の事業者の皆様と手を携えて地域課題の解決に尽力してきました。
そんな楽天の地域創生事業を支える人にスポットを当てるインタビュー企画「地域創生なヒトビト」。自身の豊富な経験を活かして楽天で活躍する人材に注目して、3人の従業員に話を聞きます。
記念すべき第1弾は、“超・現場主義な元県庁のヒト”のEijiさん。前職の自治体職員としての経験を活かし、現在は楽天で地域創生事業の一員として活動するEijiさんは、各地域の悩みに寄り添いながら現場で汗を流して地域活性化に取り組むことが、何よりも楽しいと言います。
そんなEijiさんが“地域”に想いを寄せるようになった契機や現在の活動、そのやりがいについて、Todayの取材チームがオンラインで話を聞きました。
県庁時代: 実地で思い知った、地方活性化の大きなやりがいと課題
—— お名前とご所属、通常業務の内容を教えてください。
Eiji: 楽天グループ株式会社 地域創生事業 共創事業推進部のEijiです。地域創生事業の中で、地域の方々と同じ視点で観光を創造する部署に所属していて、私は「楽天トラベル」などを活用したコンサルティング業務などを専門に行っています。
—— 楽天へは転職で入社されたそうですが、それまでのご経歴も教えていただけますか。
Eiji: 大学卒業後、国際公務員を夢見てアメリカに渡り、大学院で「MPA」(公共経営修士/Master of Public Administration)を取得しました。MPAは「MBA」(経営学修士/Master of Business Administration)の公共版ともいえるもので、公共政策の実務家を養成するところです。クラスメイトには、NPO法人職員や消防士をはじめとする地方公務員など、地元へ熱い思いを持っている方々がたくさんいたのですが、彼らと日々を過ごすうちに「地域のために何かしたい」という想いが自分の中で芽生えたんです。
そこで帰国後、地元である埼玉の県庁に入庁しました。
—— 入庁後に携わった実例の中で、印象に残っていることはありますか。
Eiji: 県庁で働いた13年の間に定期人事異動で様々な部署に所属しつつも、地方自治体や事業者と連携する事業に携わることが多かったですが、その中でも埼玉県内唯一の村・東秩父村で企画した「閉校祭」が特に印象深いです。取り壊し予定の小学校を開放して歴代の文集を公開したり動画を流したりしたのですが、地元の方や卒業生、勤務されていた先生方が集まって懐かしんでくださったことは私にとっても心揺さぶられる体験で、地域活性化の醍醐味を味わいました。なお、東秩父村の取り組みは当初は県庁の仕事として携わっていたのですが、「閉校祭」は仕事ではなく地域活動の一貫で関わらせていただきました。
この経験は、大学院時代に芽生えた地元への想いが、過疎化や後継者不足に悩む“地方”に向くようになった大きなきっかけでもあったんです。
—— やりがいも大きかったと思いますが、なぜその後、民間企業に転職しようと思ったのでしょうか。
Eiji: 東秩父村での「閉校祭」は地元の方に向けた限定的な催しでしたが、県庁時代には基本的に、地域活性化のための観光客誘致や移住支援に取り組んでいました。ただ、イベントによる観光客の増加や地元経済の活性化は一時的なものですし、ましてや観光客を定住に導くなんて気が遠くなるようなことだと痛感したんです。持続的な発展のためには、地域が「自走」することが絶対に必要だと気がつきました。 その点で、楽天は創業時から地域の活性化に力を注いでいて、地域が自ら「稼ぐ力」を身につけることに尽力していることを知って、2020年4月に楽天へ転職したんです。
楽天へ入社: 一人ひとりの人物像が見える立体的なデータを活用し、地域の自走を後押し
—— 楽天における現在の業務内容について教えてください。
Eiji: 私の現在の業務は、地域が自ら稼ぐことを支援するためのプロモーションとコンサルティングです。「楽天トラベル」サイト上で地域の魅力をプロモーションして観光客を宿泊に導くお手伝いをするほか、コンサルティング業務においては、楽天が保有するマーケティングデータ(注)を利用した自治体向けワークショップ「RakuDemy」(ラクデミー)の実施によって、稼ぐ力をつけるための戦略作りや、観光客誘致に向けたペルソナ(顧客像)の設定などマーケティング支援を行っています。
(注)個人や取引先含む第三者が特定されない形で、楽天グループのサービス利用履歴などを統計的に加工したデータ
—— 何か具体的な事例があれば教えていただけますか。
Eiji: 新潟県長岡市において、今年度実施した地域創生の取り組みをご紹介します。
1つ目は、国内有数の酒どころである長岡の酒蔵が一堂に集まるイベント「越後長岡酒の陣2023」の実施支援です。このイベントにおいて「楽天チケット」でチケットを販売したほか、「楽天市場」におけるウェブ物産展の連動プロモーションの取り組みに携わらせていただきました。
2つ目は、コンサルティングとして、長岡市の宿泊施設向けに、稼ぐ力を向上させるワークショップや勉強会、個別のアドバイスを行い、宿泊施設の顧客満足度の向上、誘客、宿泊単価向上を目指した支援をさせていただきました。
—— 過去には自治体職員としても地方に寄り添ってきたEijiさんにとって、楽天ならではの強みについて感じることはどんなことでしょうか。
Eiji: データ領域の広さと質、そして“深さ”だと思います。
統計などの公的データでは、ざっくりとした年代やお住まいの都道府県によって一定の集団像の傾向は見えてきますが、楽天のマーティングデータからは、どういった層がどんな映画が好きで、どんな食べ物を志向しているか……など、ライフスタイル、趣味趣向が立体的に浮かび上がってきます。これは、「楽天市場」や「楽天トラベル」、「楽天ふるさと納税」などの多様なサービスを同一のIDで連携しているからにほかならず、楽天ならではの強みだと強く感じています。
参考記事: Rakuten地域創生ポータルサイト「RakuDemy in 佐渡市 ふるさと納税額を伸ばすワークショップを実施」、「RakuDemyの新たな試み 「移住促進」のアイデアを考えるワークショップを開催」
絶え間ない学びで地域と共に成長を続ける、Eijiさん流・地域創生術
—— 全国で行われている地域創生の取り組みについて、Eijiさんが今感じている課題感があれば教えてください。
Eiji: 私が県庁に所属していた時に比べて、コロナ禍を経て自治体を取り巻く環境は大きく変化しています。地方自治体の人口や自治体職員は減少し続けているのに、地域課題は深刻化しているんです。課題解決のためには地域全体で稼ぐ力を身につけて生産性を上げることが不可欠で、その実現のためには地方自治体だけでなく、事業者へのコンサルティングの実施が必要だと考えています。
—— そうした喫緊の課題の解決に向けて、個人的に挑戦していることはありますか。
Eiji: 中小企業の経営課題に対応する専門家「中小企業診断士」の資格取得に向けた勉強や、政策や地域経済学の学び直しです。
私たち民間に自治体の大切なお金を預けていただくには、地域の課題を自分ごととして情熱を注ぐことと同じくらい、地域の人々自らが「なぜ稼ぐ必要があるのか」、そしてそれが「どのように地域の人口を増やすことにつながるのか」を理解してもらうことが重要だと考えています。皆さんにきちんと納得していただくためには、ロジカルに説明できないといけませんから、様々な領域において基本的なことに立ち返って学びを深めるように努めています。
—— 地域と共に自らも成長したいという強い意志を感じますが、Eijiさんにとって楽天の地域創生事業は今後どうあるべきだと考えていますか。
Eiji: 「楽天と一緒だからここまでできた」という成功事例を一つずつ丁寧に積み上げていくことしかないと思います。といっても楽天の思い描く未来像の押し付けではなく、自治体、事業者、楽天の3者で連携して目標値を定め、数字でしっかりと目指すべき方向性を見定めたうえで、結果を残すことが我々楽天の果たすべき使命だと考えています。
—— では最後に、地域創生に情熱を注ぎ続けるEijiさんにとって、モチベーションの源泉を教えてください。
Eiji: 自治体の職員などがワークショップや勉強会を通して「自分たちの課題に気づきました」と言ってくださったり、ご自分の人生における新たなステージの糧にしてくれたりすることが私にとってエネルギーの源なんです。意欲のある自治体の方々と熱量を高め合いながら、本気で地域創生について考えることがただただ楽しいだけなんですよね。切磋琢磨している自治体や事業者の方々と何年後かに集まって、地域での取り組みを肴にお酒が飲めたら……、こんなに嬉しいことはないと思います(笑)。