多岐にわたるSNSアカウントを支えるソーシャルメディアマーケティンググループの挑戦

楽天グループでは、SNSを通じて、日々様々な情報を発信しています。70を超える楽天グループのサービスのSNSアカウントは、当然それに応じて複数あります。この多岐にわたるアカウント数の運用に際して、リスク管理や品質保持を徹底するためには、統括的なサポートが不可欠です。

楽天グループ グループマーケティング部 ソーシャルメディアマーケティンググループでは、最新のSNS動向や社内外の好事例を積極的に情報収集し、社内の各アカウント運用者に向けたナレッジ共有を定期的に実施することで、品質を保つ運用に尽力してきました。また、常にお客様の反応に耳を傾けながら、どのアカウントにおいても一貫した楽天らしさを発信し、ファンを増やしていくことに力を注いでいます。

そんなソーシャルメディアマーケティンググループの日々の活動に注目する本記事では、同部署でSNS運営を統括するCecileさん、各事業のSNS運営を支援するErikaさんとWakanaさんにもお話を聞きました。

ソーシャルメディアマーケティンググループの皆さん。左から、Wakanaさん、Cecileさん、Erikaさん

楽天のSNS戦略と、多岐にわたるアカウントを支える役割

——楽天グループ全体のマーケティングを横断的にサポートしているグループマーケティング部における、ソーシャルメディアマーケティンググループの役割について教えてください。

Cecile: ソーシャルメディアマーケティンググループ(以下「SMM」)は、マーケティングの中でもソーシャルメディアに特化した部署です。楽天内の各事業におけるSNSを、効果的なマーケティング手段として活用できるように支援することを目的としています。楽天のSNSアカウント数は他社には見られない規模感です。Xをはじめ、Instagram、Facebook、YouTube、LINE、TikTokなど多岐にわたるSNSプラットフォームを活用しながらも、これらのアカウントを効率的に管理し、モニタリングできる仕組みを整え、品質維持のためのガイドラインを策定することが私たちの役割です。

——すべてのアカウントにおける投稿や運用は、SMMが行っているのですか?

Cecile:「楽天モバイル」や「楽天市場」、「楽天トラベル」など各サービスのアカウントは、それぞれの事業におけるSNS担当者が管理しています。また、コーポレートアカウント(@RakutenGroupJP)をはじめとする一部アカウントに関しては、投稿案の検討や一部制作、提案も行っています。

——では、SMMの主な活動内容を教えてください。

Cecile: まずは、ガバナンス観点での活動が挙げられ、各アカウントの運用者がSNS運用ルールを理解し、安全な運用ができるようにサポートすることです。たとえば、事業サービスごとにSNS運用の責任者「ソーシャルメディアマネージャー」を設置し、投稿前の監修として、彼らの承認を得ることを必須とする体制を敷いています。また、各アカウントのフォロワー数やアカウントとしての成熟度は異なるため、それぞれの状況に合わせたアドバイスを提供する必要があるのです。

もう一つは、SNSの最新動向や他社の取り組みをモニタリングし、良い事例を各事業部に共有すること。これにより、楽天ファンの創出やブランドの好感度向上を目指し、ひいては各事業の発展に寄与できるように貢献したいと考えています。

——楽天グループ内だけで、多岐にわたる複数のアカウントを保有するメリットはどこにあるのでしょうか。

Cecile: 確かに1つないし少数のアカウントに発信を集約している企業もあります。しかし、楽天は70以上のサービスを展開しており、各サービスのブランド戦略やターゲット、お客様に伝えたいメッセージは様々です。そのため、個々のアカウントを運用することで、自分たちの状況や意図に沿うコミュニケーションを行っていただくことが最善だと考えています。

とはいえ、各々が単にバラバラに活動を行うのではなく、お互いの投稿のリポストやシェアを要請したり、お互いの成功事例を共有したりするなど、担当者間でコミュニケーションができる場を用意し、積極的に活用してもらっています。まるで「楽天エコシステム(経済圏)」のように、有機的にお互いのアカウントが結び付くことで、より大きなインパクトが出せるような取り組みもしています。

社内外の知見を結集し、楽天のSNSアカウントをより成長させる

——SNSマーケティングにおけるKPIはどのように設定されていますか?

Cecile: 事業によってSNS運用の目的は異なりますが、基本的にはお客様との接点を持ち、楽天に対するブランド認知や好感度の向上を目指しています。具体的な指標としては、フォロワー数やインプレッション数などがあります。いずれにしても、SNSはお客様が日々気軽に触れられるチャネルですから、SNSを通じてお客様とのポジティブなコミュニケーションを図ることに取り組んでいます。

——それぞれの担当者にそうした意識を持ってもらうために、SMMが行っている施策はありますか?

Cecile: 各アカウントの運用状況や課題、フォロワーの成熟度を把握し、それに応じた情報提供や支援を行うことによって、運営力の水準を引き上げること。SMMチームは、外部のセミナーやイベントにも積極的に参加し、最新のプラットフォーム情報や事例を社内にフィードバックしています。また、3カ月に一度は事業部のSNS担当者を集めたセミナーを実施していて、社内外の成功事例や各プラットフォームの最新情報、リスク対策方法など、マーケティングに役立つ情報を提供しています。セミナー後のアンケートで高い満足度をいただけた時には、とても嬉しく思いますね。

セミナーの様子

——楽天ではAI活用による生産性最大化を目標としていますが、SNSマーケティングにおいてAIはどのように活用されていますか。

Cecile: AIを駆使することで、マーケティング効率・オペレーション効率・クライアント効率をそれぞれ20%アップさせる「トリプル20」に向けて全社的に力を注いでいて、SNS領域でも効率化を図るためにAIを活用しています。AIによる投稿文の作成支援や修正、ハッシュタグの提案、クリエイティブの制作などを可能にし、より効果的でスムーズな運用を目指しているところです。

SNSだからできること。お客様のフィードバックで深まるつながり

——SMMのメンバーとして、これまでの活動で印象に残っているエピソードはありますか?

Wakana: コーポレートアカウントにて、楽天の創立記念日である2月7日に、お客様への感謝を込めたメッセージを創業当時の写真と共に投稿することを発案したところ、実際の投稿で平均より数十倍を超えるインプレッションや反応をいただけたことがとても印象的でした。

また、楽天グループの大規模イベント「Rakuten Optimism」でも、SNSが活躍しました。事前に動画を視聴して応募するキャンペーンを通して、イベントに向けた高揚感を高めてもらおうという施策です。また、Xを活用したイベント最中のリアルタイムの投稿は、お客様との一体感を強められた実感があります。イベント参加者だけでなく、オンラインで視聴するお客様にも興奮と楽しさをお届けできていると感じました。

楽天の創業記念日に投稿したXのポスト

——そうした臨場感は、SNSならではの特徴と言えそうですね。

Erika: ええ、そうなんです。企業からの一方通行の情報発信ではなく、お客様からの反応が直接返ってくることがSNSの大きな魅力です。私たちは、お客様からの反響や反応を得て、それを基にコンテンツを改善し続けています。

Wakana: 双方向のコミュニケーションが可能になることで、サービスなどの情報をお届けするだけでなく、人間味が感じられる担当者の想いまでもお客様に直接届けられるところが、ほかのマーケティングチャネルとは異なる点だと考えています。

——お客様の反応が得られることは、やりがいにつながる部分ですね。

Cecile: その通りです。お客様の率直なご意見が聞ける場であり、楽天に対する反応を直接目にすることができます。「こんなアプリ知らなかった!」や「このサービス、ぜひ家族にも紹介したい!」といった声が届くことで、楽天の好感度が高まっていることを実感できることはとても嬉しいことです。こうした瞬間が、SNSマーケティングにおけるやりがいの一つであり、私たちが継続してお客様と向き合う理由でもあります。

——では最後に、SNSの進化に伴って新しく挑戦したいことや目標など、SMMの今後のビジョンについてお聞かせください。

Cecile: SNSは企業にとってお客様と接点を築く重要なタッチポイントであり、今後もその役割は大きくなると確信しています。SNS運営における目的は、お客様とのつながりを深めてファンを増やすこと。そのために、SNSの進化に柔軟に対応し、お客様のニーズや行動をより深く理解する必要があると考えています。AIや新しい技術の導入を通じても、さらに効率的で効果的な運用を実現し、楽天の魅力をより多くのお客様に届けるための努力を続けていたいと思っています。

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