東北を元気に。田中 将大選手が楽天イーグルスファンと再び描く夢

2013年11月3日、日本シリーズ第7戦。その年、前人未到のシーズン24連勝を収めていたエース田中 将大選手は、160球を投げ完投しながらも初黒星を喫した前日から2日連続で仙台のマウンドに立っていました。球場全体が声を合わせて登場曲を歌う中、最後のバッターを三振に切って取り、「東北楽天ゴールデンイーグルス」(以下、「楽天イーグルス」)を球団創設以来初となる日本一に導いたのです。

あれから7年あまり。アメリカ・メジャーリーグ(MLB)の名門、ニューヨーク・ヤンキースで主力として戦い、そして東日本大震災から10年という節目を迎えた今年、日本に復帰することを決意しました。

「自分にとって意味のあるタイミング」―――。そう語る田中選手には、イーグルスファンと再び描く夢がありました。

「ワクワクが抑えられない」日本球界への復帰

2021年1月30日、田中選手の入団記者会見が都内で開かれ、「楽天イーグルス」と楽天のロゴが掲げられたパネルの前には、スーツ姿で座る田中選手の姿がありました。渡米する前に比べてどこか頼もしい雰囲気になった表情と、時折見せる、以前と変わらない屈託のない笑顔。そんな彼の姿を見て、MLBでの活躍を見守っていたファンの胸には、これからの期待と過去の思い出が入り混じったことでしょう。

復帰に至った今の心境について質問された田中選手は、「とてもワクワクしています。また皆さんの前でマウンドに上がって投げられる、日本の野球ファンの前で投げられるというところにワクワクが抑えられていない状態ですね。そして、7年離れていたので成長した姿をお見せできたらいいなと思っています」と答えました。

悩み抜いた末の決断だったという「楽天イーグルス」への復帰。自身がどのような環境で野球をしたいのか、ということを最も重要視したと語ります。

「世界中がコロナ禍で厳しい状況にある中、アメリカでの7年間をものすごく評価していただき、大きなオファーもありました。ですが、自分はこのイーグルスでプレーをして、また日本の方々の前で投げるということを上回るというものは、最後までなかったのでこういう決断に至りました」と心の内を明かし、今シーズンを全力で戦うという熱意を述べました。

いざ日本のマウンドへ。着々と進む準備

3月26日、「楽天イーグルス」の公式戦は北海道日本ハムファイターズとの試合で幕を開けます。

田中選手は2月6日に沖縄県金武町で行われていた1軍キャンプに合流し、新しいチームメイトたちとの練習を開始しました。翌日には練習着ではなく、背番号18のユニフォームを着て初のブルペン入り。再び彼のユニフォーム姿を見られることに感動したファンも多くいたことでしょう。日本のボールやマウンドの感触を確かめるような姿、そして年下の選手たちとも気兼ねなくコミュニケーションを取る姿が印象的でした。

同月20日に行われた北海道日本ハムファイターズとの練習試合では、2013年11月3日に行われた日本シリーズ第7戦・読売ジャイアンツ戦以来の国内試合復帰を果たしました。2イニング39球を投げた田中選手は試合後、「まだまだ状態を上げていかないといけないと思いますし、全体的にまだまだな部分がたくさんあって、こういうふうに今日(試合を)やれたことで、これからブルペンのセッションなどで、今日の反省、感じたことを生かしていきながら調整できたらと思います」と話しました。

3.11から10年・・・東北への想い

2021年は、東日本大震災から10年。田中選手は、震災発生の直後から被災地の学校やイベントを訪れて復興支援活動に参加し、スタジアムで自ら募金箱を持って寄付を呼び掛けることもありました。

震災を風化させてはいけない−−−。

田中選手はアメリカに渡った後も、被災地への想いを綴ったメッセージをSNSやブログなどから発信したり、帰国時には被災地を訪問したり、様々な形での支援活動を継続していました。

静岡草薙球場で行われたオープン戦開始前に黙とうを捧げていました。

震災から節目となる10年、フリーエージェントとなり日本球界に復帰したのは、意味のあるタイミングだったと田中選手は話します。入団会見の際、「被災地の方々にどんな姿を見せたいか?」という質問に対して、次のように想いを述べました。

「今でも一緒になって頑張りたいという気持ちはもちろん変わらずあります。今まで以上に近くにいられることで、また僕に何かできることがたくさんあるかもしれないので、できる限りやはり協力していきたいですし、みなさんと一緒に頑張っていきたいと思っているので、まずは球場のマウンドでいい姿を見ていただけるように変わらず努力していかないとなと思っております」

仙台のみならず日本中の野球ファンを賑わせた田中選手復帰の朗報。再びMLBに挑戦する意欲は持ちつつも、腰掛けでチームにいるのではなく、全力で日本一を目指すということを田中選手は強調しました。彼の魂の投球は、きっと東北の方々や日本中のファンを元気づけてくれることでしょう。

2013年9月26日、リリーフ登板した田中 将大選手が最後の1球を投げ、初のパ・リーグ優勝を決めた。

2013年以来の悲願を胸に。

イーグルスファン、そして東北の皆さんを再び笑顔にするために、 今後の田中選手を楽天グループも全力でサポートしていきます!

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