アップルCEOのティム・クック氏から「世界最高齢のプログラマー」として紹介され、世界からも注目を集めている若宮正子さん。アイデアをどこから見つけるか。いま注目している技術は何か――。若宮さんへのインタビューの後編と、「楽天テクノロジーカンファレンス2017」でのレクチャーの様子をお届けします。(前編はこちらから、中編はこちらから。)

アイデアの源はニーズを発見する「人間力」

―― 今後、若いプログラマーにはどんなアプリを作ってもらいたいですか?

アプリを幅広くとらえて、いろんな人へ向けたアプリを作ることを考えてほしいと思います。「プログラミングはできるけど、何を作っていいか分からない」という若い人が多いのですよね。

2016年の「アプリ甲子園」で優勝した当時17歳の少年は、GPS機器を靴に埋め込んで、靴を履いている人の位置情報をスマホへ知らせるという、IoTツールを開発しました。彼のおじいちゃん(曽祖父)が夜に徘徊し、おばあちゃんが探すのに苦労していたことが開発のきっかけになったそうです。

徘徊する老人に悩む家庭は、日本に多くありますよね。その子はおそらく、おじいちゃん、おばあちゃんのことをよく観察していたか、実際におじいちゃんが徘徊している時に一緒に探しに行っていたのかもしれません。少年のように、自分の毎日暮らしの中で、そのようなニーズを発見できるかどうかなのです。

例えば、自宅近くの見通しの悪い曲がり角で車との接触事故が多ければ、その角に車の接近を知らせるセンサーを設置してはどうか?と考えてみる。市役所や警察に言うのもいいですが、自分の身近なところでニーズを見出す能力が「人間力」なのかもしれません。

家庭でもニーズを見出すことはできます。毎日のご飯でも、たとえば、麦ご飯や五穀ご飯などを炊くときに最適な炊き方を提案するIoT的なアプリがあったらとか、アイデアはいろいろな所で見つけることができると思います。

ロボット、プログラミング・・・もっと勉強

―― いま注目している、または今後学んでみたい新しいテクノロジーはありますか?

ロボットに興味がありますね。コミュニケーションをとって癒しを提供するロボットよりも、自立支援型ロボットが今後どのように発展していくのか。自分が要介護になるかもしれないということと、日本人の介護士さんが不足しているそうなので、介護ロボットについて知りたいという気持ちがあります。

プログラミングは引き続き勉強しています。「hinadan」アプリはシステムを変更すれば、英語をベースにしてマルチリンガル設定にできるんですね。また、端末の画質に対応してプレイ画像のクオリティを切り替えられるようにもしたいです。そういったシステム変更や仕様の技術を、遠隔授業で教えてもらっています。

「hinadan」アプリをダウンロードされた方は5万人ほどですが、「App Store」で見たという方は100万人以上いるそうですので、より多くの方に使っていただけるようにしたいですね。

―― 毎日、お忙しいのではないですか?

最近は海外から、イベントなどへお招きいただくことがよくあります。先日はシンガポールから技術チームがきて4日間お付き合いしました。中国からも、プログラミング決起大会みたいな大きなイベントに招待されました。予定が合わずお断りしたのですが、「ビデオメッセージでもいいから参加して欲しい」と。

アメリカの記者からは、「私の国のシニアは家でのんびりしている人が多いのに、日本のシニアはプログラミングなんかするの!?」と驚かれました。ドイツ、台湾、スイス、フランスなど、海外では特にアクティブ・シニアに大きな関心が持たれているようです。

今日はダブルヘッダーくらいですけど、8月、9月はトリプルヘッダーが続くような忙しさでした。今日もこの授賞式がおわったら、そのまま新幹線で新大阪まで行きます。

―― 休みたいと思うことはありますか?

あまりに忙しいので、疲れている暇がありません(笑)。新しいものを開発するために、プログラミングの基礎的なところを、もっともっと勉強していきたいです。

2017年11月に行われた「楽天テクノロジーカンファレンス2017」で、「楽天テクノロジー&イノベーションアワード2017」の銀賞を受賞した若宮さん。

受賞後、若宮さんは15分間にわたり、自身のこれまでの取り組みや考えなどについて、全て英語でレクチャー(受賞スピーチ)を行いました。その様子もぜひご覧ください!

【YouTube動画埋め込み:https://youtu.be/KySJeEfjI18