今や当たり前のように生活に根付いているインターネットショッピング。それを支える配送技術は日々進化を遂げ、まるでSF映画の世界のようにロボットが商品を届けてくれる時代も到来しようとしています。

近年のインターネットショッピングの劇的な普及は、物流量を激増させ、昨今の人手不足も相まって、「宅配クライシス」とも呼ばれる社会問題にまで発展しました。

楽天も、自社物流網の構築や受け取り場所の拡充などを通じ、物流改革を推進しています。さらに、将来的なソリューションとして、2016年からドローンを活用した配送、そして2018年からは地上配送ロボット(Unmanned Ground Vehicle、略称「UGV」)を使用した無人配送の実現に向けても取り組んでいます。

本記事では、地上配送ロボットの導入に向けて行われている配送実験について、筆者の体験レポートも交えながらご紹介します。

物流改革に向けた次なる一手!無人配送ソリューションとは?

2019年5月、千葉大学の構内で、楽天の地上配送ロボットを活用した屋外での配送実験が行われました。実験では、学生が専用の注文アプリで購入した商品をロボットが構内の生協から配送し、指定された日時・場所で受け取るまでのプロセスにおいて、注文者のロボットに対する反応やニーズおよびロボットの機能性などを検証しました。

<配送実験のプロセス>

  1. 学生モニターが、大学内の生協で販売されている食べ物や文房具などの商品(約25種類)を専用のアプリから注文
  2. 注文を受けたスタッフが、生協の商品を地上配送ロボットに積載
  3. ロボットが構内を走行し、注文時に指定した日時・場所に配送
  4. 商品の配送後は、再び出発地点の生協前まで自動で帰着

「屋外で地上配送ロボットを使用し、実際にお客様に商品配送を行ったのは、楽天として初めてのことです」と話す、プロジェクトをリードする楽天株式会社インベストメント&インキュベーションカンパニードローン・UGV事業部 ジェネラルマネージャー 向井 秀明

「ロボットには、事前に地形情報を学習させており、配送の際にはそれらの情報をもとに最短ルートで走行するように設計。さらに実用化に向けて、一度の走行で複数箇所への配送を行い、スムーズな受け渡しが可能なことを確認しました。加えて、お客様の実際に走行するロボットに対する反応や、ロボットによる配送のニーズの検証も行いました」(向井)

走行中は学生の注目を集め、物珍しく振り返る様子も見られましたが、人や自転車の往来が多い中でも、ロボットはスムーズに走行し、大学構内に溶け込んでいる印象でした。実際に受け取った学生モニターからは、「機械的なイメージがあったが、デザインや音声に親しみが持てた」や「とても素晴らしいアイデアで実用化が楽しみ」、「初めてで戸惑いもあったが、慣れれば難しくないと思う」といった声があがり、今後のロボットの実用化への期待がうかがえました。


筆者が未来を感じた配送体験

今回、筆者も学生モニター同様にアプリから注文をし、実際に商品が手元に届くまでを体験しました。

アプリでの注文は簡単。インターネットショッピングをする感覚で商品を選ぶことができました。筆者は取材に必要なペンとノート、そして昼食のおにぎりを注文。

受取場所と配送希望時間帯を選択し、「楽天ペイ(オンライン決済)」で決済をして完了です。

専用アプリの注文画面

配送希望時間帯になると、ロボットが近づいてきたのか、アプリから「まもなく商品が到着します」とのプッシュ通知が届きました。指定した受取場所に向かうと、ロボットはすでに到着。指定した場所にロボットが待っている様子を見たときは、未来がやってきたなと素直に感心してしまいました。

商品を受け取るには本体のタッチパネルを操作し、商品到着時にプッシュ通知で届く暗証番号の入力を行います。たったそれだけということもあり、拍子抜けするぐらい簡単に商品を受け取ることができました。ロボットによる配送と聞くと小難しそうですが、実用化されれば誰でも利用できるソリューションであるという実感を得ました。

また、実際にロボットの配送中の様子も見学したのですが、想像以上にスムーズな走行をし、センサーで障害物を検知すると回避したり、一時停止したりするなど、実用化に向けて着々と前進していることをうかがわせていました。

加えて、ユーザーアンケートにもあったように、ロボット掃除機などに抱く「かわいい」という感覚にも似たものを走行中のロボットに感じさせられ、配送をするその姿はとても愛くるしいものでした。

人を検知し、迂回する様子

今回の配送実験では、実用化に向けて一定の成果を得たと向井は話します。

「楽天として、初めての屋外でのロボット配送実験でしたが、楽天の持つ専用ショッピングアプリなどのITソリューションと、海外での運用実績も持つロボットの機体を組み合わせることで、便利で、安定したサービス提供ができることを確認できました」(向井)

複数の学生が行き交う中でも、人や障害物を回避したり、一時停止したりすることで衝突を避け、安全な配送が実現できたといいます。またユーザーの実際の反応をもとに、ユーザーにとってよりわかりやすい説明が必要なプロセスの発見があったことなど、初めての屋外での配送実験では多くの収穫があったようです。

無人配送ソリューションは、技術だけでは実現できない

「ロボットを使用した無人配送ソリューションの実現に向けた取り組みはまだ始まったばかりです。配送をする際に走行する道路のルール作りなど、民間企業だけでは実現できない課題もあります。今回の配送実験も、現在は、ロボット走行に関する法律がなく、ロボットが公道を走行することは難しいため、大学の敷地内で行いました。こうした私有地などでの実証実験を重ね、法整備につなげていきたいです」(向井)

先行して行っているドローンを活用した配送実験でも、楽天は国や他企業と連携して取り組みを進め、実現に向けて動いています。今回のロボット配送実験も同様に、実証実験を重ねて技術の検証をしつつ、課題の洗い出しやニーズの計測などを行うことで、その実現に向けて取り組んでいます。

「今回の配送実験は、楽天のロボット配送の取り組みにおける大きな一歩です。まずは私有地や特定地域などのシーンで実績を重ね、多くの方に利便性を感じていただけるようなサービスの実用化を推し進めていきたいと思っています」と向井は今後の展開について語りました。

インターネットショッピングをもっと便利にし、どこに住んでいても高いクオリティで、スピーディーに商品の受け取りができる、楽天が目指す次世代の配送の挑戦は着々と歩みを進めています。

「楽天ドローン」サイトURL: https://drone.rakuten.co.jp/